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スペイン語には「言う」を言い換える単語がたくさんある:その5.「明らかにする/表現する」グループの単語

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おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
 
今回テーマは、前回までに引きつづき、「言う」のシリーズです。
 

スペイン語には「言う」がたくさんある

スペイン語には、「言う」の意味で使える単語が、ざっと40ほどあります。
 
40というのは、このシリーズを書くにあたってリストアップした結果出てきた数です。
 
スペイン語でニュースなどをよく読まれる方であれば、40いずれの単語も見聞きしたことがあるはずです。
 
しかし、それをリスト化したものが見つかりませんでした。
 

言い換えができるメリット

「言う」に限らず、同じ意味のことを多様に表現できると、
 
「この人は、しっかりとした書き方&話し方ができる教養がある人だ。」
 
というポジティブな印象を与えることができます。
 
他にも、次のようなメリットがあります。
 
・スペイン語の能力試験が記述式の場合、高得点(少なくとも好印象)が狙える。
・留学先のクラス分けで、高いレベルから始められる(留学を有効に使える)。
 
これは、私(タクミ)の実体験からそう断言できます。
 

英語に比べてスペイン語には学習に役立つ情報が少ない

おそらく個人レベルでは、皆さん単語をリスト化したものをお持ちだと思います。
でも、公開されているものは皆無に等しいです。
 
日本人にとってのNo.1外国語である英語では、こういうリストやまとめ記事はネットにも山ほどあります。
 
しかし、スペイン語となると初心者向けの記述はあっても、中級者以上が「一つ先をめざす」のに役立つ学習情報は見当たりません。
 
実際、ある一定レベル以上の人を対象としたテーマで100以上の記事があるブログはネットの検索上位にありません。
 

では、その情報提供を私にやらせてください

情報がない。
 
であれば、私がスペイン語能力アップのために普段やっている事を共有します。
ささやかですが。
 
スペイン語学習に関する情報が集まれば、スペイン語学習者全体のレベルアップにつながります。
 
そうすれば、みんなが切磋琢磨できる環境が生まれます。
 

この記事を読んでほしい人

本ページでは、「一つ先をめざす人に役立つ」ことを念頭に置いた記事を集めていきます。
 
「スペイン語では、一歩先をめざす学習者に役立つ情報が少ない」
 
上でも言いましたが、私の問題意識は、やはりこの点です。
その出発点が、「言う」を言い換えるための単語シリーズです。
 
そういう観点から、一通りのスペイン語文法と使用頻度が高い基本的な単語を抑えていて、これから表現の幅を広げていこうとしている方をこの記事の読者に想定しています。
 
・「今はある事を表現するのに一つの言い方(単語)しか知らない。」
・「でも、複数の言い方を覚えてもう一つ上のレベルに行きたい。」
 
そういう心持ちのある方に向けたメッセージです。
 
もちろん、
 
・「この記事にある単語は全部知っている。」
・「でも、いざ自分が発信する(書く or 話す)となるとパッと出てこない。」
 
という方にとっても、受動的にわかる単語から、能動的に発信するための単語に格上げする機会となればうれしいです。
 

かくいう私も、まだ成長の途中です

この記事、そしてシリーズで挙げている単語や表現は、私も数年たってやっと自分の発信用の単語として定着させることができました。
 
今でもしばらく使わないと、記憶のタンスからパッと反射的には出てこなくなることはあります。正直なところ。
 
これから、一歩先をめざす方。
 
プロでもこのレベルです。
覚えてもすぐ忘れてしまうからといって落胆しないでください。
 
あきらめずに、インプット(見聞き)とアウトプット(自分が話すこと)を続けてください。
それ以外、非ネイティブがネイティブに近づく道はありません。
 

表現を自分のものにするにはフェーズがある

前置きが長くなってすみませんが、もう一つだけ。
 
新しい表現を覚える(定着させる)には、次の4つのフェーズ(段階)があると思います。今、思いついたばかりをそのまま書きます。
 

フェーズ1. 新しい表現として覚える

まず、見聞きして理解できるレベルの表現として定着させようとしている段階。
野球でいえば、「2軍の選手」、といったところ。
 

フェーズ2. 見聞きして理解できる表現から、発信するための表現へ格上げする

「分かる」表現ではあるが、「発信できる」表現の間をさまよっている定着レベル。
野球でいえば、「1.5軍」、つまり、「1軍と2軍を行ったり来たりする選手」でしょう。
 

フェーズ3. 考えたら発信につかえる表現へ格上げする

頭の中で考えたり、準備したりしたら、発信するときに使えるレベルの定着度合い。
野球でいえば、1軍の選手だが、少し気をぬくと1.5軍に落ちてしまう。
 

フェーズ4. 発信につかえる表現で反射的に「パッ」と出てくるレベルへ移る

考える必要なし。
頭をよく整理しなくても、「パッ」とその表現が出てくる定着度。
野球でいえば、コンスタントに成績を残せる、スーパースター。
 

私の現在地

今の私は、ほとんどの単語を3.のフェーズに蓄積していて、4.に移せるように反復を繰り返している段階だと分析しています。
 
また、フェーズ 3. では、それまでの自分の経験から、
 
・「この表現は自分一生つかわないだろうな。」
・「だから今、この場で理解できればいい。」(つまり、1. のレベルに留める)
 
といった選択もするフェーズになります。
なので、自ずと2. の1.5軍の選手をあまり抱えなくなります。
 
もちろん、
 
・仕事のために一旦「1.5軍」として抱える(つかえる駒として持つ)。
・けれども、必要がなくなればリリースする(忘れる)前提で覚える。
 
ということは、頻繁にありますね。
 
凡人が思いつきを言語化しただけですので、粗い分析です。
言語習得の専門家の方、もし定説があれば教えてください。
 

“decir” を別の単語で言い換える

お待たせしました。やっと、本題に入ります。
 
「言う」の意味でいちばん頻繁に使うのは、"decir” です。
 
この “decir” を言い換える単語をたくさん知っていれば、「格調高い文章、洗練された話し方ができる人だ」と言う印象を与えることができるのは、上で述べたとおりです。
 
今回は、「明らかにする/表現する」というニュアンスの単語に絞って紹介します。
 

・aclarar

・manifestar

・revelar

・expresar

 
いずれの単語も、書き言葉でよく目にします。
長い新聞記事だと、一つの記事の中でこの4つの単語が全部入っていることもあり得ます。
 
ただ、「明らかにする/表現する」というグループにまとめはしましたが、完全に意味やニュアンスがイコールではないです。
 
なので、以下の例文のチェックに加えて、ご自身でもたくさんの実例を見て、
 
・こういう意味/ニュアンスがある
・だから、こういう場面、文脈でつかう(つかわない)
 
という判断をしてください。
この、「つかえる/つかわない」を判断するのは、いいトレーニングです。
 

ネイティブはこう使っている:実際の文章

まず、"aclarar” から。

(例文)
Peña Nieto, aclaró que no importaba si la bandera está “al revés o al derecho, la bandera es el símbolo que nos da el sentido de identidad.
Fuente: Periódico Correo (México), 24 de febrero, 2018
 
内容はこんな感じです。
 
 
(拙訳)
メキシコのペニャ・ニエト大統領は、「国旗が上下逆さまだろうが、真っ直ぐであろうが関係ない。国旗が我々のアイデンティティーであることに変わりはないのだから。」と述べた。
 
出所:2018年2月24日付、Periódico Correo(メキシコ)
 

背景補足

国の祝辞で国旗掲揚した際に、国旗が逆さまになっていて、いらぬ注目を招いたとエピソードです。
日本だったら、少なくとも関係者の間では、大騒動となって悪者探しが始まるでしょう。
 
まあ、メキシコ人がいかに「見直し」をしないといっても、こんなミスは考えられないです。
偉い人の顔に泥を塗りたくて、誰かがわざと仕組んだんじゃないかと疑いたくなります。
 

次に、“manifestar” です。

(例文)
El presidente Juan Manuel Santos,  manifestó que para solucionar la crisis provocada por el elevado número de inmigrantes venezolanos recibidos por Colombia y Brasil se necesita primero restaurar la democracia en Venezuela.
Fuente: La República (Colombia), 17 de marzo, 2018
 
内容はこんな感じです。
 
(拙訳)
コロンビアのサントス大統領は、「コロンビアとブラジルでは、ベネズエラからの移民の受入れ数が急増している事により危機的な状況となっている。この現状の打破にはまず、ベネズエラ国内での民主主義の再建が必要だ。」と述べた。
 
出所:2018年3月17日付、La República(コロンビア)
 

背景補足

ベネズエラは今、深刻な物資不足に陥っています。
それとその他の理由で、たくさんのベネズエラ人が海外に流出しています。
 
その主な流入先の国が、コロンビアとブラジルです。
この両国が、受け入れる側としても「一気にたくさんの移民が押し寄せてきて大変な状況だ」と言っています。
 
そして「民主主義の再建」という言葉は、ベネズエラのマドゥーロ大統領が、ルールを無視して独裁していることに言及しています。
周りの国からも「いい加減にしろ」という白い目で見られています。
 
今のベネズエラの独裁では、
 
・自分たち(マドゥーロさんとその仲間)に都合がいいようなルールを作って、
・その歪んだルールの中で、自分たちがやりたい事を好き勝手やっている。
・自分たちに都合がいいルールに反対する人たちを力で押さえつける。
 
という事が起こっています。
 
ここでいうルールの作り方も、
 
・既存の国会を無視して、
・絶対的な権限をもつ別の国会を作って、
・そこで自分たちに都合がいいルールを法律にする。
 
という流れです。
 
今年2月には、ラテンアメリカ(中南米)の12か国がペルーに集まって、
 
・このようなベネズエラのやり方を認めない。
・別の国会(Asamblea Nacional Constituyente)の正当性を認めない。
 
といった宣言をしました。
 

次は、"revelar” です。

(例文)
Tim Cook, director ejecutivo de Apple, revela que es gay.
Fuente: El Mundo (España), 30 de octubre, 2014
 
内容はこんな感じです。
 
(拙訳)
アップルのティム・クックCEOがゲイであることを明かした。
出所:2014年10月30日付、El Mundo(スペイン)
 

余談

ティムさんって、ゲイだったんですね。
知らなかったです。
 
でも、「だから何?」って感じです。
 
・男が男を好きになったらダメですか?
・女が女を好きになったらダメですか?
・本人の勝手だろ!
 
と私は思います。
ちなみに、私(タクミ)は女性が大好き派です。
 

最後に、"expresar” です。

(例文)
Donald Trump no quiere gente de “países de mierda” en Estados Unidos. Así lo expresó el presidente este jueves durante una reunión para renegociar el programa que concede residencia legal a inmigrantes de Haití, El Salvador y países africanos.
 
Fuente: El País (España), 12 de enero, 2018
 
内容はこんな感じです。
 
(拙訳)
トランプ大統領は、「ケツの穴みたいな国」からの移民を欲していない。同大統領は、今週木曜日に行われたハイチ、エルサルバドル、アフリカ諸国からの移民の在留資格に関する会合でそのように述べた。
 
出所:2017年1月12日付、El País(スペイン)
 

余談

以前の記事でも取り上げたトランプさんの「ケツの穴みたいな国」発言に関する別の記事です。
 
関連記事:トランプさんの「ケツの穴みたいな国」発言

注意書き

言い換え可能と言っても、いつでも自動的に置き換え可能なわけではありません。
その単語や表現のチョイスには、意味的な必然性があります。
 
それぞれの単語が帯びる意味やニュアンスに応じて、その文脈に最もふさわしい表現をネイティブは選択しています。
 
また、書き言葉、フォーマルな話し言葉では、言い換えしないといけません。
言い換えしないと、幼稚に聞こえるからです。
 
しかし、日常会話レベルでは、"decir" を繰り返しつかうのが普通だというのが私の肌感覚です。
普通の会話で無理やり言い換えをしても、
 
・堅い話し方をする人だ
・違和感のある単語のチョイスをする人だ
・気取りやがって
 
という好まざる印象を与えかねないです。
なので、インフォーマルな場面ではリラックスして、"decir” をくりかえしていいです。
 

まとめ

以上、長くなりましたが、「言う」の言い換え表現シリーズ、第5弾でした。
 
この投稿では、「明らかにする/表現する」グループの「言う」だけを取り上げました。
でも、まだまだ「言う」の類義語は残っていますので、次回以降も取り上げます。
 
すべての単語を出し切ったところで、「言う」の言い換え単語リストを作成します。
よく使われる順に並べて、トップ10のリストを作るのもいいかもしれません。
 
この記事があなたの参考になればうれしいです。
 
もっとスペイン語が上手になりたい。
 

キューバに住み込みでダンス修行したい!

 
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。