「“パッ”と見て分かる」をスペイン語で何と言うか
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
今日のテーマは、「“パッ”と見て分かる」をスペイン語で何と言うかです。
今回も実用例を交えて紹介します。
早速、私が見つけた表現を紹介します。
“se entiende a simple vista”
“se entiende a primera vista”
日常でもビジネスでも使える表現
今日の表現は、ビジネスの場面で使うことを想定した表現です。
例えば、誰かの「プレゼンが分かりやすい」といったコメントをする場面で使えます。
私は、実際にこういう場面で何度も見聞きしたことがあります。
この基本形を覚えて、使える場面でドンドン使いっていきましょう。
考えなくても口から「パッ」と出るような状態が理想です。
「通訳泣かせ」の表現たち
こういう表現、日本語ではよく見聞きする表現です。
しかし、スペイン語(外国語)で反射的に出すのは慣れないと難しいと感じます。
・話し手が使っている言語では意味が理解できる。
・だけど、アウトプットする方の言語での表現が思いつかない。
こういう表現たちを私は以前の記事で、「通訳泣かせ」の表現たちと言っています。
もし、こういう言い換えが難しい表現を難なく変換できるとしたら・・・
あなたが通訳ではないとしても、
・言わんとするところを100%に近く伝えることができる。
・「自分の想いを伝えられない」という悔しさを減らすことができる。
こんなメリットがあります。
関連記事:「国内時事の一般知識」をスペイン語で何と言う?
「かゆいところに手が届く表現」をしたいという悩みはみんなに共通だと思います。
特に、レベルが上がれば上がるほど。
だからこそ、このメディア内で言い換えに困る「通訳なかせ」の表現を集積して、みんなでスペイン語のレベルアップができればいいなと考えています。
実用例:ネイティブはこう使っている
では、実用例を紹介していきます。
(例文)La oferta que les hicieron no se entiende a simple vista: a él le propusieron un puesto de investigador, mientras que para ella la oferta fue una colaboración gratuita.Fuente: El Cronista (Argentina), 8 de marzo, 2018
内容はこんな感じです。
(拙訳)
彼ら(オットーとリサ)に提示された雇用条件は、パッと見て理解できるものではなかった。彼(オットー)には研究者のポストが提示されたが、彼女(リサ)が受け取ったのは無給のボランティアという条件だった。
出所:2018年3月8日付、El Cronista(アルゼンチン)
背景補足
この例文は、労働にまつわる男女差別に関する記事です。
例文は、一昔前のエピソードを紹介しています。
オットーとリサ、その道のプロとしての能力は同じです。
しかし、昔は男女という性別の差があるだけで、待遇に大きな差が出ていました。
当時の女性は「よほど突出した才能がない限り、外で働くべきでない」という常識がありました。
家庭の経済的な柱は、「夫もしくは父親であるべき」と考えられていたからです。
・「リサの生活は、彼女の夫か父親が保障している。」
・「だったら、リサに給料を支払う必要はないじゃないか。」
そういう社会的な考えが背景にあって、「無給のボランティア」という条件が提示されました。
「“パッ”と見て分かる」にも様々なニュアンスがある
記事を書く過程ではたくさんの例文を眺めます。
その中で、
「"パッと見て分かる" にもいろいろなニュアンスがあるんじゃないか?」
という感覚を持ちました。
次の例文では、「表面には現れない」というニュアンスで使われています。
(例文1.)Luego de una catástrofe repasamos los daños materiales y físicos que la población ha sufrido. Sin embargo, no olvidemos el daño que no se ve a simple vista, el daño emocional.Fuente: El Nuevo Día (Puerto Rico), 11 de septiembre, 2017
内容はこんな感じです。
(拙訳)
何かの災害が起きたあと、私たちは人々が被った物理的なダメージをふりかえる。しかし、心理的なダメージという表面には現れないダメージのことも忘れてはいけない。
出所:2018年3月8日付、El Nuevo Día(プエルトリコ)
次の例文の “a simple vista” には、「深く考えない」というニュアンスがあると感じます。
(例文2.)Un estudio pionero, realizado en la provincia de Heredia, demostró que, en ese lugar, podría haber más verdor del que sus vecinos perciben a simple vista.Fuente: Nación (Costa Rica), 14 de julio, 2014
内容はこんな感じです。
(拙訳)
エレディア県で先駆的な調査が行われた。エレディアには住民が普段認識している以上に緑があるということがこの調査で判明した。
出所:2014年7月14日付、Nación(コスタリカ)
自分が住んでいるゾーンにどれだけ緑があるかなんて、深く分析したり、正確な認識があるわけじゃなく、感覚的に「このくらい緑があるな~」くらいに考えている世界だと思います。
そういう意味で、「深く考えない」というニュアンスがあると考えました。
「“パッ”と見る」という言葉もよく考えると深い
例文1. も例文2. も、
・「パッと見ても、見えてこないダメージ」
・「パッと見て、感じている緑の量」
と日本語にしても違和感はないです。
でも、文字通りに「パッと見て」、という以上の細かなニュアンスが含まれています。
こんなニュアンスの違いに目を向けると、より表現力が高まります。
それで、「パッと見て分かるプレゼン」を何というか?という問いが残ります。
それは、次の記事で紹介しますね。
関連記事:「パッと見て分かるプレゼン」=「直感的に分かるプレゼン」
まとめ
この記事があなたの参考になれば幸いです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行したい!
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。