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「会社の黒字化が使命/確固たる経歴を持つ」をスペイン語で何と言うか?

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おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

今日もスペイン語が上手になりたい人の味方、Study Spanish をご訪問いただきありがとうございます。

 

今日のテーマは、「会社の黒字化が使命/確固たる経歴を持つ」をスペイン語で何と言うか?です。

 

SONYのCEO交代人事を題材に取り上げます。

(SONYの顧客ではありません。)

 

 

 

今日のスペイン語表現

この記事で紹介するスペイン語表現は次の2つです。

 

・会社の黒字化が使命

・確固たる経歴を持つ

 

先に私が見つけたネイティブの表現例を紹介します。

 

今日の表現1.

・“La gran misión de Hirai era pasar a Sony del rojo al negro”

=平井氏の大きな使命は、ソニーの黒字化だった。

 

この表現1.で覚えてほしい文章の「型」はこれです。

“La misión es pasar a la compañía del rojo al negro”

 

今日の表現2.

・“Los hombres que tienen antecedentes sólidos”

確固たる経歴を持つ(人物)

 

この表現2.で覚えてほしい文章の「型」はこれです。

“Tener antecedentes sólidos”

 

こんな人に読んで欲しい

仕事でスペイン語を使うビジネスパーソンあてに書いています。

 

そんなビジネスパーソンの中でも、

・何かの事業を赤字から黒字に転換させようと奮闘されている方

・確固たる経歴を持つ人物をチームに加えようとしている方

 

を想定して書いています。

 

こんなシチュエーションで使える

今日の表現、こんな風に使えます。

太田さん、こんにちは。

あなたは、ITC商事の海外営業部におつとめです。

 

2年前、本社海外営業部米州第二課から、南米の現地法人に出向を命じられました。

出向先の現地法人 Southern Mining Corporation では、財務のマネージャーです。

 

あなたにとって、マネージメント職での海外赴任は今回がはじめてです。

あなたに課せられた使命は、設立から3年経っても赤字の Southern Mining を黒字化させることでした。

 

もちろん簡単なミッションではありません。

しかし、逆境に萌える性のあなたは、希望に胸を膨らませて現地に赴任しました。

 

(中略)

Southern Mining のマネージメントに就いてから既に2年が経ちました。

あなたの使命である黒字化は、何とか来期に達成できる見込みが立ちました。

 

ある日の夜23時、あなたオフィスに残って、ひとり残業をしていました。

 

カチッ、カチッ、カチッ…

 

日中にはまったく聞こえないアナログ時計の針が、寸分の狂いなく秒を刻む乾いた音。

それが、静まり返ったオフィスの中に響き渡ります。

 

本社に報告のメールを打ち、パソコンを閉じたあなた。

目を閉じて、赴任からこれまでのことを振り返り始めました。

 

・時間が過ぎるだけで望みの結果が出せない…

・本社からのプレッシャーも日増しに強まる…

・胸から喉元までが詰まるような焦燥感に駆られた日々…

 

それが、黒字化を達成した今では遠い昔のように懐かしく感じられます。

ふと、あなたは Southern Mining の今後に思いを馳せました。

 

「次の課題は、黒字の継続だな。」

「新しい血を入れて、組織にテコ入れするタイミングかもな。」

 

・「新しい血を入れる」

・「組織にテコ入れする」

 

このことを考えたとき、まず頭に浮かんだのはあなたの部下、フリオの顔でした。

フリオは財務のスペシャリストで、マネージャーであるあなたの右腕です。

 

フリオは、Southern Mining 設立当初からのメンバーです。

自分のオペレーションを淡々と、でも確実にこなします。

 

今はオペレーションレベルを担当しています。 

でも、あなたは知っていました。

 

「フリオには戦略を作り、その遂行をマネージメントする適性がある」

ということを。

 

事実、今回の黒字化達成ではフリオが大車輪の働きをしました。

彼の活躍がなければ、Southern Mining の黒字化はあり得なかったでしょう。

 

華やかさはないが、質実剛健。

常に淡々と、やるべきことをやるフリオ。

 

会社が黒字化した今、あなたが Southern Mining を離れる日は近いです。

となると、

「自分がいなくても会社が回るようにする」

 

それが Southern Mining で残されたあなたの最後の使命です。

 

そうなると「自分の後を誰に任せるか?」という疑問が残ります。

でも、あなたの答えは既に決まっていました。

 

「フリオを自分の後任としてマネージャーに昇進させる。」

「彼の実力、適性、これまでの貢献を考えたら当然だ。」

 

「フリオを昇進させるにあたって、財務に秀でたスペシャリストを彼のサポート役として引っ張ってくる必要がある。」

「そんなオペレーションに優れた人材がいれば、フリオがマネージメントに集中できる環境を作れる。」

「今回は、オペレーションレベルに新しい血を注入しよう。」

 

あなたはそう考えました。

翌日、フリオさんにあなたの意向を伝えないといけません。

 

翌日、あなたはフリオさんをオフィスに呼びました。 

(あなた)

「フリオさん、今、私のオフィスに来てくれるか? 」

「ちょっと話したいことがある。」

 

「フリオさん、あなたを財務のマネージャーに昇格させたい。」

「あなたのように強固なバックグラウンドを有する人物の登用は、パートナー企業からの印象もいいだろう。」

 

「会社の黒字化というここでの使命を私は果たした。」

「なので、誰かと交代するタイミングが来たと思っている。」

 

「私の後任として、Southern をよろしくお願いします。」

 

こんなシチュエーションで使える表現です。

それでは、例文を紹介します。

 

ネイティブはこう表現する

例文の出所

この例文は、SONYが今年の2月にCEO交代人事を公表した際の報道から抜き出してきました。

(「今さら、その話かよ」というツッコミが入るリスクは承知の上です。笑)

 

 

さすが世界のSONY。

スペイン語圏の各国の新聞で、このCEO交代は報道されています。

 

 

 

特に、経済やビジネス色が濃い目の新聞がこのニュースを取り上げてます。

 

やっと例文を見せます

いらない前置きを十分にとったところで、例文をどうぞ。

(例文)

La gran misión de Hirai era pasar a Sony del rojo al negro, de modo que ahora que se vislumbran ganancias récord supongo que se decidió que era hora de un cambio... El hecho de que asciendan los hombres que tienen antecedentes sólidos será bien recibido en el mercado.

Fuente: Gestión (Perú), 2 de abril, 2018

 

(内容/拙訳)

平井氏の大きな使命はソニーを赤字経営から黒字化させることでした。過去最高益が予想される中で、平井氏もトップの交代のタイミングが来たと決心されたのではないかと推察します。(新CEOの吉田氏のように)確固たるバックグラウンドを持つ人物の登用は、マーケットにとっても好印象でしょう。

出所:2018年4月2日付、Gestión(ペルー)

 

少しだけ説明

説明1:「会社の黒字化が使命」

「会社を黒字化する」をスペイン語では、“〇〇を赤から黒に移す” と解釈します。

なので、“pasar a 〇〇 del rojo al negro” という表現になります。

 

あとは、〇〇のところに黒字化したい対象、つまり会社名をはめ込むだけです。

 

この例文では、「平井さんの使命」となっているので、

“La gran misión de Hirai” となっています。

 

例えば、「私の使命」や「君の使命」「あなたの使命」と言いたい場合には、 

私の使命:Mi misión es pasar a Sony del rojo al negro.

君の使命:Tu misión es pasar a Sony del rojo al negro.

あなたの使命:Su misión es pasar a Sony del rojo al negro. 

 

と言い換えます。

 

説明2:「確固たる経歴を持つ」

「確固たる経歴を持つ」は、日本語をそのままスペイン語にするだけです。

この場合の “経歴” は、“antecedentes” です。

 

この “antecedentes” は、英語で言うと “background” です。

この “antecedentes sólidos” は、

 

・“strong background” とか

・“solid background” とか

 

に英訳されます。

 

この “antecedentes” という単語は、国連のようなハイソな機関が発行する文書でも出てくるような表現です。

また、仕事の求人の募集要項でも「〇〇の分野における “solid background” があること」という記載をよく目にします。

 

今日のおさらい

では、上記を踏まえて今日の表現のおさらいをします。

あなたが本当にフリオさんに説明しているつもりで見てください。

(あなた)

Julio, ¿podrías venir a mi despacho, por favor?

「フリオさん、今、私のオフィスに来てくれるか? 」

 

Tengo un asunto que quiero consultarle.

「ちょっと話したいことがある。」

 

(フリオがあなたのデスクの前に座る) 

Julio, me gustaría ascenderlo al gerente financiero.

「フリオさん、あなたを財務のマネージャーに昇格させたい。」

 

El hecho de que ascendamos a un profesional como usted que cuenta con antecedentes sólidos será bien recibido por los socios.

「あなたのように強固なバックグラウンドを有する人物の登用は、パートナーからの印象も良いはずだ。」

 

Yo cumplí con la misión de pasar a Southern Mining del rojo al negro.

「会社の黒字化という Southern での使命を私は果たした。」

 

De modo que me decidí que es hora de un cambio.

「なので、何かを変えるタイミングが来たと思っている。」

 

Quiero que usted sea mi sucesor. El destino de la compañía depende de usted. Le encargo mucho.

「私の後任として、会社をよろしくお願いします。」

 

太田さん、どうですか?

これで、フリオさんにあなたの想いを伝えられそうですか?

 

これまでの任務、本当にお疲れ様でした。

さらなるご活躍を期待しています!

 

まとめ

この記事があなたの参考になれば幸いです。

 

もっとスペイン語が上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい!

 

以上、大谷翔平の登板が流れてがっかりしている、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。

 

編集後記

太田さんが南米の現地法人に赴任して、自分の後任を選ぶところは、いくつかの選択肢が浮かびました。

結局、フリオの内部昇進を選びましたが、外からヘッドハンティングで取ってくるということも、現実では大いにあり得る話です。

 

ただ、

・例文に取り上げたSONYの人事が、吉田さんの内部昇進だったこと

(例文と妄想シチュエーションが似ている方が、ストーリーの中で表現を覚えやすいと考えました)

 

あと、

・ラテンアメリカの人が満足しそうなストーリーは何か?

ラティーノって、自分の勤続年数とか、社内人事に案外敏感なんです。

外から引っ張られてきた人が急に自分の上に立つことに案外抵抗があります。

なので、ラティーノが喜びそうな、フリオの内部昇進を選びました。

 

こんなことを考えた結果、妄想シチュエーションでは、フリオを内部昇進させることにしました。

 

そんなん、どうでもいいですか?笑

最後まで読んで頂いてありがとうございます。