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「働き方改革/社長直下/機動力を持たせる」をスペイン語で何と言う?

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おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

スペイン語が上手になりたい人のためのメディア、Study Spanish にようこそ。

今日も「かゆいところに手が届く」スペイン語を紹介します。

 

今日は、企業の「働き方改革」に関する記事の一部をスペイン語に訳してみました。

スペイン語に訳してみた記事は、コレです。

 

タイトル:Slackフル活用、情シス主導の働き方改革

サブタイトル:受付の省人化、会議室の利用率上昇に成功

 

今日のスペイン語

今日は、いくつかスペイン語の表現を紹介します。

具体的には、下の3つです。

 

(1)働き方改革

(2)社長直下

(3)機動力を持たせる

 

それぞれ、それぞれ次のような表現を考えました。

 

(1)働き方改革

reforma del sistema laboral

 

(2)社長直下

bajo el mando directo del presidente

 

(3)機動力を持たせる

permitir movilizar con velocidad y estrategia según exijan las circunstancias

 

(2)と(3)には、いろいろな案が浮かびました。

(1)については、ネイティブがどう表現しているかを探せるかどうかですね。

 

小林さん(架空の話し相手)、あなただったらこの5つ、どう表現しますか?

 

実際の日本語に応用してみる

はい、では上の基本形を東洋経済オンラインの実際の記事に応用してみます。

あらためまして、文章の出所はココです。

 

「働き方改革」をスペイン語で

まず、「働き方改革」をスペイン語で表現してみます。

(原文)

一般的には、働き方改革を主導するのは人事や総務部門が多いが、HDEでは情報システム部門がその重責を担っている。

 

(タクミ案)

Por lo general, las compañías encomiendan al departamento de Recursos Humanos o Asuntos Generales liderar la reforma del sistema laboral. Sin embargo, en la HDE, el Departamento de IT desempeña ese enorme rol.

 

なんでこんな表現になるの?

まず、「働き方改革」の「働き方」の部分の表現がむずかしいです。

わたしが自分のアタマで考えた案は、

・Reforma de las condiciones laborales

・Reforma del estilo laboral

 

う~ん…これで絶対大丈夫とは言い切れない。

で、グーグル調べを進めてみると、まさかのキューバの新聞が検索にヒットしました。

 

キューバの新聞が日本の「働き方改革」を報道してる。

この記事のおかげで、スペイン語での「働き方改革」の言い回しを1つ手に入れた。

 

この新聞は、“reforma del sistema laboral” としてますね。

「働き方改革法案」は、 “proyecto de ley para reformar el sistema laboral” となってます。

 

NHK(英語版)や海外メディアは、“work system reform” で統一してます。

どうも英語からスペイン語にそのまま訳したみたいですね。

 

「社長直下」「機動力を持たせる」をスペイン語で

「社長直下」と「機動力を持たせる」は、こんなふうに表現してみました。

(原文)

「当社の情報システム部門は社内システムの運用や調整といったことのほかに、2つの大きなミッションが与えられています。それは「自社製品を徹底的に利活用する」ということと、「他社に先駆けてクラウドを使い倒す」ということで、そのため私たちの組織は社長直下におかれ、機動力を持たせてもらっています」

 

(タクミ案)

Nuestro Departamento de IT, además de la operación y ajustes de los sistemas internos de la compañía, tiene dos misiones vitales. La primera, es utilizar nuestros propios productos al máximo, y la segunda, es anticiparnos a otras compañías en el aprovechamiento total de las ventajas del cloud. Nuestro departamento está situado bajo el mando directo del presidente con el fin de permitirnos movilizar con velocidad y estrategia según exijan las circunstancias.

 

なんでこう表現するのか?

長い文章なので、頭からカタマリごとに訳して、最後にひとつの文章にまとめるやり方をしました。

カタマリごとの訳はつぎのとおりです。

 

・徹底的に利活用

= Utilizar al máximo

 

・使い倒す

= el aprovechamiento total de las ventajas

 

この2つは、トーンが違うだけで、正味同じことを言ってます。

ただ、スペイン語は同じ表現の繰り返しを嫌う言葉なので、別の言い回しを考えないといけません。

 

そこで、「徹底的に利活用」の方は、「最大限に使う」と簡単にまとめました。

「使い倒す」の方は、「利点を最大限に活用する」と解釈しました。

 

・クラウド

= el cloud

 

クラウドは、男性名詞の冠詞つきで、“el cloud” と使われてます。

日常の会話では、 “la nube” と言っているのも聞いたことがありますが、“el cloud” の方がハッキリしていてイイと思います。

 

・社長直下におく

= estar situado bajo el mando directo del presidente

 

日本語では、「おく」や「おかれている」と言いますが、スペイン語では「ある」という状態で表現します。

 

また、「社長直下におかれ」の部分は、つぎの言い回しも可能です。

 

・Nuestro departamento depende directamente de la presidencia

・Nuestro departamento reporta directamente al presidente

 

・ひとつ目は、社長室に直接ぶらさがっている

・ふたつ目は、社長に直接報告する(直属の上司)

 

というように「社長直下」を解釈しています。

 

・機動力をもつ

= permitir movilizarse con velocidad y estrategia según exijan las circunstancias

 

日本語の辞書をいろいろ調べてみたのですが、こういう文脈での「機動力」には、「状況に応じ、迅速かつ戦略的に行動する」という含みがあります。

その含みをスペイン語に落とし込んでいます。

 

野球でいう「機動力」だったら、「スピードを生かした攻撃をするチーム」というように、「迅速性」に重きをおいた解釈になります。

 

ただ、この文章の場合は、そこに「戦略性」と「状況への対応」という含みを入れるべきと判断しました。

 

日本語は機動力を “持つ” となっていますが、スペイン語だと機動力を “与えられている” というように受け身にした方が自然です。

 

最終的な文章の組立ての結果、“許されている”(“nos permiten”)という形に調整しました。

 

まとめ

この記事があなたの参考になればうれしいです。

 

もっとスペイン語が上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい!

 

以上、マー君 VS 大谷翔平の対決が楽しみな、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。

 

おまけのスペイン語

ついでに、労働にまつわる役立つスペイン語を紹介します。

偶然だったけど、やっぱりキューバの書き言葉は教科書になる。

 

関連記事:キューバの書き言葉、私の教科書

study-spanish.hatenablog.com

 

文章の出所は、このキューバのメディア記事です。

上で紹介した「働き方改革」の言い回しもこの記事から抜いてきたものです。

 

「裁量労働制」の “文章的” な表現

(原文)

…la iniciativa introduce un nuevo sistema de pago que recompensará a los trabajadores de acuerdo con los resultados, en vez de las horas que inviertan.

 

(タクミ)

働き方改革法案により、投入した労働時間ではなく、成果に応じた報酬を与える(裁量労働制)新しい賃金システムが導入される。

 

「正規と非正規雇用」

(原文)
Dentro de las novedades del proyecto, se prevé pagar el mismo salario por el mismo trabajo a los empleados, sean fijos o temporales.

 

(タクミ)

今次法案の目玉のひとつには、同じ職務内容であれば、正規、非正規雇用に関係なく同額の給与を支払うという内容が盛り込まれている。

 

この「働き方改革」で、裁量労働制が拡大されるのに付随して、こんな言葉が生まれてます。

 

「定額働かせ放題」

 

「定額働かせ放題を助長しかねない」という文脈でスペイン語にすると、

= Podría incentivar uso ilimitado y explotador de la fuerza laboral.

= Podría permitir a las empresas a explotar su fuerza laboral cuanto ellas deseen.

 

こんな感じで表現できます。

(記事をアップする寸前の今になって、しっくり来なくなってきた(笑))

 

最後まで読んで下さってありがとうございます。

タクミ

 

あと、働き方改革については、ブロガーのイケハヤさんがたくさん記事にされてますので、見てみてください。

 

「働き方改革」より「稼ぎ方改革」…さすがの視座と言語化です。