「独裁色を強める/状況が厳しいので QQ になった」をスペイン語で何と言う?ベネズエラ情勢のニュースから
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
スペイン語が上手になりたい人のためのオンラインメディア、Study Spanish。
混迷するベネズエラ情勢から、あなたの表現力を高めるスペイン語を紹介します。
今日のスペイン語
この投稿で取り上げる表現はつぎの2つです。
(1)独裁色を強める
(2)状況が厳しいので~になった」
ネイティブがこう言っているのを見つけました。
(1)独裁色を強める
(2)状況が厳しいので QQQ になった」
アナタだったら、どう表現しますか?
ネイティブはこう表現する
今日もNHKニュースのスペイン語版から例文を抜き出します。
ベネズエラの今後の見通しに関するコメント記事です。
キレイな表現や「へえ~」と思わせる有益な情報がたくさん詰まった記事。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年6月1日
久々にお手本になる文章に出会えた。 https://t.co/PCeiKqz0qY
(1)XX色を強める
(例文)
Precisamente este motivo ha llevado al presidente a endurecer el carácter dictatorial de su gobierno llegando incluso a prohibir la participación en los comicios a la mayoría de los partidos de la oposición.
Fuente: NHK WORLD JAPAN, 30 de mayo de 2018
(内容/拙訳)
まさにこのことがきっかけで、マドゥーロ政権は独裁色を強めた。野党の大半が選挙に参加することを禁止するまでに至った。
出所:2018年5月30日付、NHK WORLD JAPAN
コメント
ちょっと長いので3つのパーツに分解します。
①この動機が大統領(マドゥーロ)を連れて行った
= este motivo ha llevado al presidente
②固くすることに
= a endurecer
③独裁的なあり方を
= el carácter dictatorial
このパーツを組み立てて、1つの文章に仕上げると、
「これがきっかけで、マドゥーロ大統領は独裁色を強めた」になります。
という型としておぼえるとイイですね。
“endurecer el carácter dictatorial” の部分には、そのとき伝えたいことを当てはめればいいです。
あと、「きっかけとなって」の意味で “motivo” をつかうのは、非常にいい発想です。
まとめのセクションでも、 “motivar” をつかった「きっかけ」の言い方を挙げてます。
(2)状況が厳しいので~になった
(例文)
La situación es tal que, en los dos últimos años, 1,5 millones de personas han abandonado el país hacia naciones vecinas como Colombia o Brasil.
Fuente: NHK WORLD JAPAN, 30 de mayo de 2018
(内容/拙訳)
国の状況がきわめて厳しいため、過去2年の間に、150万人がベネズエラからコロンビアやブラジルなどの近隣国に流れ込んでいる。
出所:2018年5月30日付、NHK WORLD JAPAN
コメント
この表現は “la situación es tan grave que…” と言うのと同じ意味が出せます。
私が “…es tal que…” の言い回しに慣れていなかったので、取り上げたかっただけです。
ここ最近、コロンビアとブラジルが、ベネズエラ移民が増えすぎと嘆くのに納得です。
でもこの数字、確認できてるだけで150万じゃないかなと思います。
実際にはもっといるはずです。
私の印象でも、もっと多くのベネズエラ人が国を出ていると感じます。
おまけ
・大統領選挙
= las elecciones presidenciales
注目:スペイン語の「大統領選挙」はなぜか複数形。たくさんのプロセスによって成り立っているのは確かだけど、全体のプロセスとしては1回だと思う。だから、感覚的には単数形の方がいい気がするんだけどな…
・2期目を決めた
= se aseguró un segundo mandato
・支持率の下落
= la caída en su índice aprobación
・経済危機に苦しむ
= la crisis económica que sufre
注目:“crisis” は “sufrir” と組み合わされるのが鉄板です。
・この件は(がきっかけとなって)国際社会の批判を浴びた
= Este hecho ha motivado críticas de la comunidad internacional
注目: “motivar” を「きっかけとなって」の意味を出す単語としてつかえることが発見。
・選挙の民主主義性を損なう
=restar validez democrática a las elecciones
注目:選挙から民主主義性を “引く” という言い方をしてます。
・意見を聞く
= recabar la opinión de la investigadora jefe del Instituto de Economías en Desarrollo, un organismo adscrito a la Organización Japonesa de Comercio Exterior (JETRO)
注目: “recabar” は「~を集める」という意味で使われます。集める対象としては、“datos” や “información” の方が耳にする回数が多いです。
・経済政策の失敗の影響をモロに受ける
= sufrir con dureza los efectos del fracaso de su política económica
注目:影響を「キツく」受けているという言い方をしてます。
・ハイパーインフレと外貨不足に直面
=hacer frente a una hiperinflación y una escasez de divisas
・IMFの予測
= las predicciones del FMI
注目:こういう予測の場合は、“pronóstico” や “proyección” じゃなくて、“predicción” がカッコいい。
・これに深刻な食糧と医薬品不足が加わる
= a esto hay que sumar una grave escasez de alimentos y fármacos.
注目:① “a esto hay que sumar” は、何かを追加で加えるときの鉄板です。②「不足」に “una” という冠詞がついています。“感覚的に理解はできる” けど、いざ自分が白紙から書く or 話すとなると、出てくるかどうか怪しいです。
・ベネズエラは対外債務返済の一部を延期している
= Venezuela ha retrasado una parte de los pagos de su deuda externa
・それに加えて、国内の治安が悪くなっている
= por si fuera poco, la situación de seguridad dentro del país se está agravando.
注目: “por si fuera poco” 意味がなんとなくクリアになりづらい表現。「それに加えて」「それでは飽き足らず」「もっとヒドイのは」とか文脈によって、日本語は変えないといけない。
・国の現状を説明したところで(or うえで or あとで)
= Una vez explicada la situación actual del país
注目: “al haber explicado…” とか “después de explicar…” とか言うより、洗練された表現。
・マドゥーロが大半の野党に対して選挙への参加を禁じたことを特筆すべき事項として挙げた
= destacan el hecho de que Maduro prohibiera la participación a la mayoría de los partidos antigubernamentales
注目: “el hecho de que 仮定法” になるところ。これは、なぜか分からないけど、常にそうなってる。理屈を考えるより、丸のみしてしまった方がいい。
・政府を攻撃しているとの罪
= acusar de atentar contra el Gobierno
・選挙に出馬する権利を奪う
= privar a alguien del derecho de presentar su candidatura a los comicios
・国際社会の反応
= la reacción internacional
・米はベネズエラの選挙を「まったく民主的でない」と評した
= USA tildó las elecciones de "nada democráticas"
注目: “tildar XX de YY” の形。XXはYYだと “評する” くらいの意味かな。
・認めようとしない
=negarse a reconocer
・世界最大の石油埋蔵量を誇る国
= el país con más reservas de petróleo del mundo
・ボーキサイト
= bauxita
・鉄鉱石
= mineral de hierro
・ベネズエラに進出する
= incursionar en Venezuela
・一時期
= en un momento dado
・30社以上に達した
= llegó a haber más de 30 firmas
・外貨不足
= la escasez de divisas
・原料の輸入が困難になる
= dificultar la importación de materias primas
・これに~が加わる、拍車をかける
= a esto hay que sumar…
・政治の不安定
= la inestabilidad política
・市場の縮小
= la contracción del mercado
・ベネズエラのマイナス成長
= el crecimiento negativo que presenta Venezuela
・ベネズエラに留まる
= seguir presentes en Venezuela
・企業活動を縮小する
= reducir su actividad
= reducir la escala de sus negocios
・ベネズエラから撤退する
= retirarse de Venezuela
= abandonar Venezuela
・マドゥーロの当選に対する国際社会の拒否を考慮すると
= habida cuenta de la negativa internacional a reconocer la victoria de Maduro
注目: “habida cuenta” = “teniendo en cuenta”。教科書的に言うと “habida cuenta” のあとには “de” を常につけないといけない。ただ、“de” が省略されている例がかなりある。 “darse cuenta” のあとの “de” が本当はついてないといけないけど、省略されてるのと同じ。あとは、 “poner de relieve” を “poner en relieve” と間違って言っているのと同じ。
・債務返済の遅延や停止のリスク
= el riesgo de retraso o suspensión de pagos
・経済制裁の拡大で増える
= acrecentar por la ampliación de las sanciones económicas
・より厳しい時期をむかえる
= hacer frente a tiempos aún más adversos
・〜は予想どおり
= es de prever que…
・より多くの日本企業
= un número mayor de compañías japonesas
・~を選択する
= optar por…
まとめ
この記事があなたの参考になればうれしいです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行がしたい!
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。
おすすめ勉強リソース
1. NHK WORLD JAPAN
NHKニュースに出てくる表現を覚えれば、時事通訳はできるようになる。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年6月1日
必要な単語はここに全部ある。
積極的に使い倒したいリソース。https://t.co/l6Pf1jcLtF
2. FUNDÉU BBVA
このサイト、スペイン語学習者の味方。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年6月1日
質問をすると、「教科書上ではこれが正しいスペイン語」という答えが返ってくる。
過去のQ&Aの蓄積もあって便利。
正しいスペイン語がどれなのか迷ったときは、このページに頼ってみよう。
https://t.co/XcIKrhiAug @Fundeuさんから