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「呪われたゴール」をスペイン語でなんと言う?

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おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

スペイン語が上手になりたいあたなの味方、Study Spanish

今日は、ワールドカップのフランス VS ウルグアイの戦評からスペイン語を紹介します。

 

今日のスペイン語

この投稿では、「呪われたゴール」をなんと表現するか紹介します。

私が出会った言い方はこれでした。

 

「呪われたゴール」

“un arco maldito”

 

ここで言うゴールとは、サッカーのゴールのことを指しています。

点を決めるという意味のゴールではなくて、ゴールという場所のことです。

 

「誰にとって」呪われているのかは、“maldito para 〇〇” で表せます。

今日の場合は、ラ・プラタ川沿いのチーム、つまり、アルゼンチンとウルグアイです。

 

なんでこんな表現をネタに?

以前、ラティーノの同僚と「呪いわれた〇〇」をどう表現するかが話題になりました。

同僚との話題の中で出てきた呪われた対象は、「会社のポジション」でした。

 

その会社のとあるポジションに来る人は、なぜか、

 

・長続きしない

・使えないというレッテルを貼られて、干される

 

という不思議な現象が、4、5人続いてくり返されていました。

 

それで、この話題が出たときにそのポジションにいた人も当時、干されていたのです。

それで、私が言いました。

 

「呪われたポジションだね」

= “Es un puesto maldicho.”

 

「あれ、“maldicho” って正しい?」

= “¿Sí, se dice “maldicho”?

 

私の問いに同僚が答えました。

 

「“maldecido” かな?」

= “¿No es maldecido?”

 

「いや、“maldito” だ」

= “No, espera, espera. Es maldito.”

 

「正しくは、“maldito”」

= “Lo correcto es maldito.”

 

私は突っ込みました。

 

「オレの言った方がよっぽどマシだったぜ。」

= “Yo estuve más cerca y mejor equivocado”

 

同僚は笑いながら認めてました。

"maldito" という単語で、このエピソードを思い出しただけです。

 

ネイティブはこう表現する

今日の例文は、アルゼンチンの infobae というメディアからの抜粋です。

例文の出所として、これまで何度もお世話になってます。

 

 

(例文)

El error de Muslera en un arco maldito para el Río de la Plata. El arquero del elenco charrúa protagonizó un blooper que le valió el segundo gol a Francia sobre Uruguay. Casualmente, la falla ocurrió en el mismo arco donde Wilfredo Caballero hizo lo propio en el duelo entre Argentina y Croacia.

Fuente: Infobae (Argentina), 6 de julio de 2018

 

(内容)

ラ・プラタ川沿いのチームにとって呪われたゴールで、ムスレラが犯したミス。ウルグアイのキーパーが、フランスの2点目となる大失態を犯した。偶然にも、ムスレラがミスを犯したこのゴールは、アルゼンチンのカバジェロがクロアチア戦でミスを犯したのと同じゴールだった。

出所:2018年7月6日付、Infobae(アルゼンチン)

 

背景

例文の内容を見れば分かると思いますが、一応、紹介しておきます。

まず、ウルグアイのキーパー、ムスレラが、準々決勝でフランスの選手が放ったシュートを処理できず、ゴールにしてしまいます。

 

FIFA動画(01:11〜)→ Youtubeで観てください

 

で、アルゼンチンのキーパー、カバジェロが、グループLのクロアチア戦でこんなミスをしてしまいました。

 

FIFA動画(00:35〜)→ Youtubeで観てください

 

この2人のキーパーがミスをしたのが、同じスタジアムの同じゴールだったのです。

アルゼンチンとウルグアイの共通点といえば、ラプラタ川沿いの国であるという点。

 

それを踏まえて、「ラプラタ川(沿いの国)のチームにとって呪われたゴール」と infobae は表現してます。

遊び心がありますね。

 

例文のポイント

まずは、この投稿のメインである「呪われたゴール」の部分から。

場所としてのゴールなので、スペイン語では、“arco”「アーチ/弧」と区別します。

 

「誰にとって呪われたゴール」かというと、アルゼンチンとウルグアイです。

それを “para el Río de la Plata”(ラプラタ川)と表現してます。

 

国名を言わずに、地理的な背景で言い表しているところが、憎いな〜と思いますね。

川平慈英もスペイン語が分かれば、「クウ〜」と唸ってたはずですよ。

 

ついでに覚えたい表現

・“protagonizó un blooper”

 

これは、「 “blooper” の主役をした」が直訳です。

つまり、「“blooper” をした」ということが言いたいのです。

 

日本語で言うと正味、「〜した」と言いたいだけなのに、

“protagonizar” という動詞を使うことで、お上品に聞こえます。

 

・“le valió el segundo gol a Francia”

 

「〜になる」を意味する  “valer” です。

日本人がスペイン語を習得する際のひとつの難関です。

 

“valer” で表現できるということが思いつかない。

スペイン語的な発想が、非ネイティブの日本人には難しいですね。

 

本文中でも、

"Muslera protagonizó el insólito error que le costó el segundo gol de Francia"

 

と言い換えされているように、"le costó" =「値段がついた」が直訳です。

ただ、日本語だと「〜になる」と「なる」でしょうね(笑)

 

・“Caballero hizo lo propio” 

“hacer lo propio” は、2人の異なる人物が、「めいめいに同じことをした」という描写に使います。

2人目の同じことをした人が、「1人目と同じことをした」という意味です。

 

例文のケースだと、アルゼンチンとウルグアイのゴールキーパーが、「めいめいにミスをした」。

で、例文記事の2人目にあたる「アルゼンチンのカバジェロがミスをした」。

 

つまり、「ウルグアイのムスレラと同じことをした」ということを指しています。

 

・同じ表現を繰り返すのを嫌う

・だから、同じことを別の表現で表したがる

 

スペイン語の特徴が垣間見える表現ですね。

 

この “hacer lo propio” については、この文章も見てみてください。

 

 

ペルーの大統領候補が2人いて、

 

・1人目(アラン・ガルシア)が、カニェテという街で集会をした

・2人目(ケイコ・フジモリ)が、アレキパという街で集会をした

 

アランもケイコも「集会」という同じ行為をしています。

記事の中で出てきた順番は、ケイコが2番目でした。

 

それで、1番目に出てきたアランと比較して、ケイコも同じことをした。

そういう意味で “Keiko hizo lo propio” という表現がされています。

 

雑談

ウルグアイのキーパー、ムスレラは、トルコのガラタサライ所属。

ということは、日本の長友と同僚だったんですね(知らなかったですが)。

 

ウルグアイ代表ですが、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス生まれだそうです。

まあ、よくある話ですね。

 

何年か前、アルゼンチンでウルグアイ人の女性に聞いた話を思い出します。

陸続きだと、言語や国籍面で、日本では考えられないことが起こります。

 

国籍

ウルグアイのブラジル国境側に住んでいると、

 

→ 出産のために、ブラジル側の病院に行く。

→ 出生により、ブラジル国籍が与えられる。

→ この時点でウルグアイ+1の国籍。

→ アルゼンチンに出稼ぎに行く。

→ アルゼンチンで子どもを産む。

→ 子どもがアルゼンチン国籍を与えられて、親もアルゼンチン国籍を取得できる。

→ ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンの3重国籍。

 

言語

・ウルグアイだから、スペイン語はできる。

・ポルトニョールというポルトガル語とスペイン語の混合語ができる。

・ポルトガル語も勉強すればできるようになる。

→ 3つの言語でコミュできるようになる。

 

陸続きの国境で育つ人がどんなふうになるのか、ウルグアイ人の彼女が典型的でした。

もちろん、みながみなそうではないけど。

 

その他

あと、ブエノスアイレスのピザ屋は、ウルグアイ人がやってることが多いです。

場所を貸しているのは、アルゼンチン人ですが。

 

金のあるアルゼンチン人は、対岸のウルグアイに不動産を所有してることが多いです。

余ってるお金をオフショアの不動産に変換するという節税対策なのかもしれません。

 

不動産収入は足がつかないように、現金で支払ってもらってるんじゃないでしょうか?

日本みたいに税務署の監視能力が低い国では、こんな感じになりますね。

 

まあ、こういう国の金持ちは役人のお友達だったりしますし、国に法人税を収めてくれる会社のえらいさんだったりします。

という事は、政治献金をしてくれる人たちでもあるということです。

 

だから多少は、目をつぶっているというところはあるかもしれません。

あくまで、個人的な想像ですが、あながち間違ってないと思います(笑)

 

まとめ

この記事があなたの参考になればうれしいです。

 

もっとスペイン語が上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい。

 

以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。