「楽な方に流れない」「100年に1人の逸材」をスペイン語で何という?:キューバ伝説のミュージシャンの伝記から
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
一段上のスペイン語使いを目指す人のサポーター、Study Spanish。
今日は、キューバ伝説のミュージシャンの伝記からスペイン語を紹介します。
今日のスペイン語
この投稿では、次の2つの表現を取り上げます。
(1)「楽な方に流れない」
(2)「100年に1人の逸材」
この2つの表現、過去の投稿で似たような言い回しを紹介したことがあります。
過去の記事で紹介した表現とは別の言い回しが出て来る...
この状況が来るのを待っていました。
それだけ、このメディア内に表現が蓄積されてきたということです。
蓄積が進んで、過去記事とかぶる表現が出て来るほど、読者さんに提供できる表現の幅が広がります。
1つの日本語でも、4つや5つの選択肢を持つことも可能でしょう。
それを状況や文体に応じて使い分けることができたら最高ですね!
ネイティブはこう表現する
またまた、キューバ人の心に生き続ける伝説のミュージシャン、Juan Formell の伝記から例文を抜き出してきました。
Juan Formell を知らないキューバ人はこの世に存在しません。
キューバ音楽を進化させた人と評されています。
(例文1)「楽な方に流れない」
Aprendí mucho con él. Aunque estudié en una escuela de arte, mi padre me enseñó mucho. Tenía mucha “maldad” para pegar un número y sabía componer canciones, buscaba qué cosa quería el bailador. Evolucionó en la misma música. Se atrevió a no caer en el facilismo y no fue repetitivo.
Fuente: “Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 50
(内容)
父からたくさんのことを学んだ。芸術学校で音楽を学んだけれども、父がたくさんのことを教えてくれた。曲をヒットさせるコツを知っていたし、作曲もできた。踊りたい人が何を求めているかを常に探していた。同じ音楽の中で進化した。楽な方に流れず、単調ではなかった。
出所:“Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 50
ここがポイント1
・“no caer en el facilismo”
この表現では、「楽な方」「簡単な方」という意味で、“facilismo” がつかわれているのがポイントです。
「楽な方におちる」= "caer en el facilismo" です。
「落ちない」と否定形なので、"no caer en el facilismo" となります。
RAE の辞書で確認してみたところ、"facilismo” はキューバなど複数の国だけで使われる単語のようです。
ただ、これだけネットが発達している時代なので、明日は別の国で使われるようになっているかもしれません。
しかも、その国の人が使わないだけで、意味はほぼ確実に通じます。
"fácil" からの派生ということはすぐに連想できます。
ついでですが、 “no fue repetitivo” =「繰り返しをしなかった」です。
転じて、「単調にはならなかった」という感じでいいでしょう。
(例文2)「100年に1人の逸材」
No pienso que un autor como él sea tan fácil sustituir. Son personas que nacen cada 100 años. El legó una escuela muy grande para todos los músicos de Cuba y la orquesta. En el mundo entero sintieron mucho su pérdida y con razón dejó una huella muy bonita en la música universal.
Fuente: “Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 50
(内容)
父のようなミュージシャンの代わりを見つけるのはそんなに簡単じゃない。100年に1人の逸材だから。父は大きな音楽の学校とオーケストラを後世に残した。全世界が彼の死を悲しんだ。世界中どこでも通じる音楽に美しい功績を残した。
出所:“Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 50
ここがポイント2
・“son personas que nacen cada 100 años”
この表現は「100年に1人の逸材」=「100年ごとに生まれる人」と発想しているところです。
日本語でいう「逸材」という特別感はスペイン語からは感じられません。
ただ、「100年ごとに生まれる」という気が遠くなる感じで、特別感が伝わります。
しかもその前のところで、”no…sea tan fácil de sustituir”…
「そんなに簡単に代わりはできない」と補足しています。
ここから、話のネタにされている人のレアさが感じられます。
このように、日本語では特別感がある表現でも、スペイン語にすると「ふつう」なことはよくあります。
まとめ
この記事があなたの参考になればうれしいです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行がしたい。
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。
おまけ
・依頼を受けてやった
= lo he hecho por encargo
・チャンギートが作った Los Van Van スタイルのドラムは別のバンドのフォーマットにも影響を与えた
= la batería al estilo Van Van, promovida por Changuito, influyó en los formatos de otras bandas
・たくさんのグループがそのスタイルを自分のグループの音に取り入れた。
= muchas agrupaciones lo llevaron a su sonoridad, como sucedió con Paulo FG, Manolin, el Médico de la Salsa, Isaac Delgado y Manolito Simonet y su Trabuco
・我々を特徴づけるミックスだ
= es una mezcla que nos diferencia
・我々のコンガの音はサルサやティンバで出される音とは違う
= la sonoridad de nuestras congas no es igual a como se hace en la salsa o la timba
タクミ