“色あせない歓び” “今でも記憶に残っている” “ドキドキしながら展開を見守る” “かたずを飲む” をスペイン語でなんと言う?
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
スペイン語が上手になりたい人のサポーター、Study Spanish。
あなたのスペイン語の幅を広げてくれる言葉づかいを紹介します。
今日のスペイン語
この投稿で取り上げる言い回しは次の4つです。
(1)色あせない歓び
注: “la alegría que no se disipa” が 「色あせない歓び」です。
(2)今でも記憶に残っている
(3)ドキドキしながら展開を見守る
(4)かたずを飲む
ネイティブはこう表現する
今日の例文は、グランマの野球記事からの抜粋です。
今日のスペイン語
— study-spanish (@studyspanishjp) September 19, 2018
(1)歓びは色あせない
(2)あれから〇〇年以上がたったが、詳細まで記憶に残っている
(3)ドキドキしながら試合展開を見守る
(4)かたずを飲んで見守る
https://t.co/jW610ItafX Via @Granma_Digital
(例文1):色あせない歓び/今でも記憶に残っている
La alegría del triunfo no se ha disipado. A pesar de los más de 46 años transcurridos aún perduran en su memoria hasta los más mínimos detalles del mencionado desafío.
Fuente: Granma (Cuba), 27 de enero de 2018
(内容1)
勝利の歓びは色あせていない。あれから46年以上がたったが、今でもあの決勝戦のディーテールまでが記憶のなかに生き続けている。
出所:2016年1月27日付、グランマ(キューバ)
ポイント1:歓びは色あせない
“no se ha disipado” を「色あせない」と解釈しました。
辞書の意味は「消える」です。
ポイント2:今でも記憶に残っている
“aún perduran en su memoria”
=「記憶のなかで続いている」が辞書的な意味です。
それを「記憶に残っている」としました。
“quedar” や “permanecer” などを当ててもいいですが、“perdurar” だとよりエモいです。
あと、“a pesar de los…46 años transcurridos”
=「46年が経過したにもかかわらず」
この文章のまとめ方は、書き言葉のフォーマルさです。
イイ感じにまとまってます。
で、私がいちばん気に入ったのは、 “hasta los más mínimos detalles” の部分です。
・「いちばん細かいところまで」
・「本当に細かいところまで」
そんな日本語になるかな~…
ある出来事の一連の流れ(例文の場合だと決勝戦)って、
・みんなの記憶に強烈に残るような場面
・ほとんどの人が忘れてしまうか、気づかないような場面
大まかに言って、こんな場面の連続が一つの出来事を形成しています。
“hasta los más mínimos detalles” は、後者の方です。
その場面の中でも、「本当に一番細かい」場面です。
伝わりますかね?
(例文2):ドキドキしながら展開を見守る/かたずを飲む
“El choque por el título, que concluyó pasada la una de madrugada, resultó muy tenso. Cuba entera seguía con ansiedad la marcha del encuentro, la gente llegó a contener el aliento durante largo rato, sobre todo en el dramático octavo inning.
Fuente: Granma (Cuba), 27 de enero de 2018
(内容2)
あの決勝戦は夜の1時過ぎに終わったすごく緊迫した試合だった。キューバ全体がドキドキしながら試合の展開を見守っていた。キューバ国民は長いあいだかたずを飲んで見守った。劇的な8回は特に。
出所:2016年1月27日付、グランマ(キューバ)
ポイント3:ドキドキしながら展開を見守る
“la ansiedad” が 「ドキドキしながら」です。
この “ansiedad” は、先のロシアワールドカップの日本 vs ベルギー戦で皆が抱いた感情でしょう。
・前半、ベルギーに押し込まれて、ハラハラ、ドキドキした感じ
・後半、2-1にされてから、押し込まれ始めたときのハラハラ、ドキドキ
こんな感情です。
ポイント4:かたずを飲んで
“contener el aliento” は 「息を止める」が直訳です。
それを 「かたずを飲む」と解釈しました。
この文脈では、上の表現と意味がとても似ています。
「呼吸を止める」ほど、試合に食い入っていた。
そんな感じの意味です。
この例文の背景
舞台は1969年8月26日にドミニカ共和国で行われた野球ワールドカップ決勝戦。
決勝のカードは、キューバ vs アメリカ でした。
この試合では、キューバが 8回に逆転。
2-1 でアメリカに勝って、優勝を決めました。
この試合で投打に活躍したピッチャーがいます。
それが、ガスパル・ペレスです。
8回、ランナー2塁でガスパルに打席が回ってきました。
キューバベンチの判断は、ガスパルに打たせる。
ガスパルは見事タイムリーを放ち、試合を同点に持ち込みました。
その後、キューバは勝ち越しに成功します。
ガスパルはこの試合を最後まで投げ切りました。
・優勝投手
・同点タイムリー
・勝ち越しのホームを踏む
キューバ全体がガスパルをヒーロー扱いしました。
キューバ代表がハバナの空港に着いたとき、フィデル・カストロが迎えに行きました。
フィデルはそのとき、ガスパルの決勝戦での活躍にちなんだニックネームをつけます。
それが、「キスケヤの英雄」でした。
キスケヤとは、ドミニカの首都、サントドミンゴにあるスタジアムです。
“Estadio Quisqueya Juan Marichal” が正式な名前です。
まとめ
この記事があなたの参考になればうれしいです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行がしたい。
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。
おまけの表現リスト
・キスケヤはガスパル “クーロ” ペレスのためにあった
= Quisqueya estuvo a los pies de Gaspar el “Curro” Pérez
・野球ワールドカップ
= el Campeonato Mundial de Béisbol
・今は亡きボビー・サラマンカの忘れられない実況
= la inolvidable narración del desaparecido Bobby Salamanca
・アメリカ代表キャッチャーの三振で終わったあの勝利の瞬間を後世に残した
= dejó para la posteridad aquel momento decisivo, con el ponche al receptor estadounidense
・兄弟国
= hermana nación
・キューバがアメリカに2-1で勝って優勝したあの大会の記憶をよみがえらせる
= aviva las remembranzas de aquel certamen concluido con la victoria del equipo Cuba ante la escuadra norteamericana, 2-1
・この勝利でキューバの端から端までピッチャーの名前が飛び交った
= el triunfo puso a volar de uno a otro confín del archipiélago cubano el nombre del pitcher
・フィデルがキスケヤの英雄と呼んだ
= Fidel llamó el Héroe de Quisqueya
・彼の頭脳的なピッチングはドミニカの地で躍動した
= sus dotes de lanzador inteligente palpitaron en tierra dominicana
・特に最後のアメリカ戦の活躍で覚えられている
= especialmente recordado fue el último encuentro frente a los norteños
・アントニオ・ゴンサレスをタイムリーで生還させた(ラサロ・ペレスの代走)
= impulsó con jit a Antonio González (había salido a correr por Lázaro Pérez)
・最後はマタンサスの選手が決めることになる試合を同点にした
= empatar el desafío que finalmente decidió otro matancero
・0-1であなたを打席に送る判断は議論を呼んだ
= dejarte batear con el marcador 0-1 y el empate en segunda base fue algo controversial
・バッティングは悪くなかった
= yo no era un mal bateador
・キャッチャーで野球をはじめた
= me inicié en la receptoría
・つぎにショートとサードをした
= seguí en el campo corto y en tercera base
・ピッチャーになることを選んだ
= decidí hacerme pitcher
・レベルの高いピッチャー相手に出場していた
=me sacaban con frecuencia frente a lanzadores de calidad
・あのワールドカップでは11打数6安打だった
= en ese Mundial conecté seis imparables en 11 turnos
・偶然じゃない、自信があった
= no fue casualidad, había confianza en mí
・あの同点タイムリーに興奮しすぎて、ファーストベースでイサシに出たバントのサインを見落とした
= me emocioné tanto con aquel jit que ya en primera base no cogí la seña de toque de bola que le dieron a Félix Isasi
・運よくセカンドまで進めてロシーケのヒットで生還した
= por suerte, logré llegar a segunda y anoté por el imparable Rosique
・オズボーンが7回までキューバ打線を手玉にとった
= Osborne dominó a su antojo a la batería nuestra durante siete entradas
・最後のアウトを取ったときスタジアムが湧きたった
= cuando saqué el out 27, las aclamaciones y los gritos de entusiasmo inundaron el estadio
・家族、特に父親から野球を愛する気持ちを受け継いだ
= heredó de su familia, en especial de su padre, el amor por la pelota
防御率2.54
= 2,54 como promedio de carreras limpias permitidas
・ビクトリア・デ・ヒロン球場の開設セレモニー
= la ceremonia de inauguración del estadio Victoria de Girón
・現役を引退した
= dijo adiós al béisbol activo
・彼のファンは彼の勇敢さを覚えている
= sus seguidores lo recuerdan por su coraje
・彼のスポーツマン精神のベースとなる特徴のひとつ
= uno de los rasgos fundamentales de su espíritu deportivo
・キスケヤで最高のレベルに達した
= tuvo su momento cumbre en Quisqueya
・“キスケヤの英雄” というニックネームはどこから来たのか?
= ¿De dónde viene el sobrenombre “el Héroe de Quisqueya”
タクミ