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“〇〇でありながら XX でも YY でもない〇〇をつくる” をスペイン語でなんと言う?

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おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

スペイン語が上手になりたい人のための仲間、Study Spanish。

今日もあなたの表現力を広げるスペイン語の言い回しを紹介します。

 

今日のスペイン語

今日のスペイン語は、“〇〇でありながら XX でも YY でもない〇〇をつくる” です。

こんな言い回しに今日出会えたのでシェアします。

 

“〇〇でありながら XX でも YY でもない〇〇をつくる” 

“yo había logrado una charanga que, sin dejar de serlo, no sonaba ni como Jorrín ni como Aragón”
 

表現を分かりやすく分解

分かりやすくするために、意味のカタマリごとに分解するとこうなります。

 

〇〇でありながら = “sin dejar de serlo”

額面通りに取れば、「それであること辞めることなく」という意味です。

ここでは、“lo” = “charanga” です。

 

なので、「チャランガであることを辞めることなく」...

つまり、「チャランガでありながら」となります。

 

スペイン語をはじめて1年くらい経ったら、すべて知ってるレベルの単語です。

それを組み合わせただけで、こんな思い浮かびにくい日本語も十分に表現できます。

 

XX でも YY でもない = “no sonaba ni como Jorrín ni como Aragón”

「ホリンのようにも、アラゴンのようにも聞こえない」が、そのままの意味です。

 

“ni como Jorrín ni como Aragón” だけで、「XX でも YY でもない」になります。

“no sonaba” が、「聞こえない」とか「演奏していない」です。

 

〇〇をつくる = “yo había logrado una charanga”

辞書通りの意味では、“yo había logrado” =「私は達成した」です。

私は「あるチャランガを達成した」が、このパーツの直訳になります。

 

ただ、“lograr” は、文脈によって、自然に聞こえる日本語に柔軟に訳せる単語です。

この例文の文脈だと、チャランガを「作った」という方が日本語としては自然でしょう。

 

これには理由があって、チャランガ(charanga)が、

 

・キューバのバンドの種類(構成)

・そのバンドが演奏する音楽のジャンル(サウンド)

 

だからです。

 

いずれの意味だったとしても、「チャランガを達成した」では意味が分かりません。

 

・フォルメルなりの、チャランガのバンド構成を「つくった」

・フォルメルなりの、チャランガのサウンドを「つくった」

 

だと、意味がつかみやすいと思います。

 

ネイティブはこう表現する

今日の例文は、キューバ音楽の伝説、Juan Formell の伝記からの抜粋です。

「キューバ人で Juan Formell を知らない人はいない」くらい伝説の存在です。

 

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Juan Formell は、キューバで一番有名なバンド、Los Van Van の創設者です。

キューバ音楽を進化させた人として認識されています。

 

(例文)

En más de una ocasión Jorrín y Lay me reconocieron, porque ellos decían que yo había logrado una charanga que, sin dejar de serlo, no sonaba ni como Jorrín ni como Aragón, que eran los dos grandes modelos de la época.

Fuente: “Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 82

 

(内容)

何度もホリンやライは私を認めてくれた。彼らが言うには、私が、チャランガでありながら、あの時代の2大モデルだったホリンでもアラゴンでもないチャランガを作ることに成功したからだ。

出所:“Juan Formell y Los Van Van - La Leyenda -, por Rafael Lam 2015, pp 82

 

背景説明:その時代モデルから脱却する

フォルメルは、キューバ音楽を進化させました。

どういう進化だったかというと、

 

“no sonaba ni como Jorrín ni como Aragón”

= ホリンでもアラゴンでもない

 

そういう方向に進化させたのです。

ただその進化は、チャランガというジャンルの中で起きたものでした。

 

つまり、フォルメルによるキューバ音楽の進化は、

 

その時代のモデル(解釈)ではない

当時のチャランガといえば、Enrique Jorrín か La Orquesta Aragón がモデルでした。

(例文の “que eran los dos grandes modelos de la época” にも表れています。)

 

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チャランガはこうじゃないといけない

成功するためには、この時代のモデルだった Enrique Jorrín か La Orquesta Aragón のようじゃないといけない雰囲気があったのです。

 

言うなれば、Jorrín や Aragón が成功の方程式で、かつチャランガ = Jorrín や Aragón だったのです。

 

Jorrín や Aragón によるチャランガの演奏(つまり「音楽的な解釈」)が、チャランガの正しい演奏の仕方(つまり「音楽的な解釈の仕方」)と無意識に認識されていたのです。

 

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フォルメルが従来とは違うチャランガの解釈をした

でも、そこでフォルメルが現れて、Jorrín や Aragón とは違う別のチャランガの演奏(つまり「音楽的な解釈」)を世に打ち出しました。

 

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従来のモデルとは違うけど、チャランガだ

そのフォルメルが打ち出した新しいチャランガの演奏の仕方(つまり「音楽的な解釈の仕方」)は、たしかに Jorrín や Aragón というその時代のモデルとは違う。

 

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「でも、チャランガだ」と受け入れられたのです。

 

例文の内容だけでも十分わかるかもしれないけど、ちょっとだけ補足でした。

逆に分かりづらくなってたらすみません(笑)

 

どういう場面で応用できる?

ビジネス、アート、料理など、幅広いシーンで応用できます。

今回は料理(日本食)を例にとってみます。

 

(応用例)

Enríquez ha logrado un maki que, sin dejar de serlo, no sabe ni como las versiones japonesas ni como las otras fusiones, que han sido los grandes modelos hasta la fecha.”

 

(内容)

=「エンリケス(架空のシェフの名前)は、巻き寿司でありながら、これまでの主要モデルであった日本の巻き寿司でもなく、その他のフュージョンともちがう味の巻き寿司を打ち立てた。」

 

応用まで考えてみると、

「今まであった既成概念をぶっ壊して、そのジャンルの中で新しい何かを打ち出す」

 

こんなニュアンスがこの表現の背景にはあります。

(今、思いついたばかりの考えですが...)

 

ビジネスやアートの世界でも、「この商品(作品)はこうじゃないといけない。」という既成概念があったとします。

 

「その商品(作品)の同じジャンルの中にとどまりつつ、新しい何かを打ち出す」というイメージで、あなたが表現したい応用を考えてみてください。

 

過去の関連記事集

今日の例文を抜き出してきた本からは、過去に何度かスペイン語を紹介しています。

もし興味があれば目を通してみてください。

 

study-spanish.hatenablog.com

 

study-spanish.hatenablog.com

 

study-spanish.hatenablog.com

 

study-spanish.hatenablog.com

 

study-spanish.hatenablog.com

 

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まとめ

この記事があなたの参考になればうれしいです。

 

もっとスペイン語が上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい。

 

以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。