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“司法を歪曲する意図はない” をスペイン語で何という?

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おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

スペイン語が上手になりたい人のサポーター、Study Spanish。

あなたのスペイン語の幅を広げてくれる言葉づかいを紹介します。

 

今日のスペイン語

この投稿では、“司法を歪曲する意図はない” の言い方を紹介します。

私が今日出会った言い回しはこれでした。

 

“司法を歪曲する意図はない”

no hay voluntad de torcer la justicia”

 

表現のココに注目

今日の表現で注目のポイントは次の2点です。

 

(1)「意図」= “voluntad”

“voluntad” は「意志」という意味で覚えている人がほとんどだと思います。

ただ、こういう「意図」という意味でも使うことができます。

 

(2)「歪曲する」= “torcer”

日本語にすると「歪曲する」で、特別な何かは感じられないかもしれません。

ただ、“torcer” という単語のチョイスがイイです。

 

“torcer” は、手や足を「ねじる」という意味があり、日常語です。

ただ、こういう「司法」とかと組み合わせると、気が利いた単語に聞こえます。

 

非ネイティブだと、なかなかパッと口から出て来ないチョイスのはずです。

そういう観点から、取り上げました。

 

応用の「型」とシチュエーション

この「型」は2つのパーツに分けて考えます。

まず、“no hay la voluntad de…” は不動のかたまりです。

 

“no hay la voluntad de…” = 「~する意図(意志)はない」です。

「型」のこの部分は、何があっても固定です。

 

場面に応じて変化させるのは、“torcer…” の部分です。

例文では、“torcer” の対象が司法だったので、“la justicia” となってます。

 

この “la justicia” を “torcer” の対象に応じて入れ替えればいいだけです。

“torcer” の対象として今パッと頭に浮かぶのは、「ルール」の類ですね。

 

・手続き(手順)= “el procedimiento” とか “el proceso”

・ルール= “las reglas” とか “el reglamento”

・枠組み= “el marco” とか “el esquema”

 

あとは、

 

・「解釈」= “versión”

・「事実」= “realidad”

 

とかも “torcer” の対象としてあり得ますね。

 

ネイティブはこう表現する

今日の例文は、ペルーで最も権威ある “エル・コメルシオ” からの抜粋です。

セサル・サン・マルティンという最高裁の裁判官に関するニュースです。

 

 

(例文)

César San Martín sostuvo que trataba de pedir que se subsane un retrato respecto al mencionado caso, “el cual ya estaba resuelto y con sentencia pero que faltaba notificar a los organismos pertinentes, por tanto no hubo voluntad de torcer la justicia.

Fuente: El Comercio (Perú), el 8 de agosto de 2018

 

(内容)

セサル・サン・マルティンは、上記の件に関する手続きの遅れを解消するよう依頼しようとしていたと主張した。この手続きはすでに完了していて判決文もあったが、関係機関への通知だけがなされていなかった。従って、司法を歪曲するような意図はなかった

出所:2018年8月8日付、El Comercio(ペルー)

 

このニュースの背景

サン・マルティンは、ペルー最高裁の現役裁判官。

過去には、最高裁の裁判長もした人です。

 

そのサン・マルティンが最高裁裁判官という立場を不当に利用したんじゃないか?

そういう疑義が持たれているという件です。

 

分かりやすく図解しました。

登場人物と機関の名前はコレです。

 

(1)サン・マルティン(ペルー最高裁裁判官)

(2)サン・マルティンの姉(認知症がある)

(3)ワルテル・リオス(カジャオ地方裁裁判長)

(4)名前不詳(カジャオ家庭裁裁判官)

(5)SUNARP(ペルーの政府機関)

(6)RENIEC(ペルーの政府機関)

 

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どうもサン・マルティンの姉が認知症があるようです。

それで、カジャオの家裁にサン・マルティンが姉の成年後見制度の適用を申請していました。

 

成年後見制度は、“interdicción civil” が専門用語みたいですね。

http://resultadolegal.com/interdiccion-civil/

 

成年後見制度の説明(日本語)

https://www.seinen-kouken.net/index.html

 

サンマルティン姉のケースは、家裁での手続きはすべて終わっていたのですが、家裁から2つの政府機関(SUNARPとRENIEC)への通知が2週間も手つかずでした。

 

サン・マルティンは、カジャオ家裁から政府機関への通知が速く行われるよう、カジャオ地裁のワルテル・リオス裁判長(当時)に電話して、カジャオ家裁の女性裁判官(名前不詳)に「急げ」と言うよう依頼(半ば指示)をしました。

 

このサン・マルティンとリオスの電話が録音されていたのです。

それが、地元メディアの手によって、公表されました。

 

録音の文字起こしはコレ

 

この電話の中でサン・マルティンが “presionar” という言葉を使っています。

それが「権力の濫用にあたるんじゃないか?」という議論を巻き起こす事になりました。

 

さらに、サン・マルティンの電話相手であるリオスは、カジャオ地方裁の裁判官の人選で、彼と仲がいい人物が選ばれるよう裏で手を回していたという疑いで、身柄を拘束中されています。

 

(他にも疑いをもたれている案件が複数あります)

 

そういう汚職のイメージがついた人物とコンタクトを取っていたというのも、サン・マルティンにとってはネガティブに働きました。

 

ペルーはすぐ録音の音声が出る

ペルーって、こういうえらい人同士の会話の音声がリークされます。

あきらかに隠された録音です。

 

公にされるとマズイ内容をペルーで話すときは、隠し録音に注意してください。

海に水着だけで入って話をするくらいの事をしないと安心できないですね。

 

元外務省の佐藤優氏が、いい年齢のオッサンが2人きりで海に入って話をしていたら、

かなり機密レベルが高い情報のやり取りをしている可能性があると言ってました。

 

佐藤氏が初期に出した作品がこれ。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―(新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―(新潮文庫)

 

 

ペルー独特の言葉づかい

サン・マルティンとリオスの会話の中で、ペルーの表現が出てきたので紹介します。

ペルー以外でも使われている可能性はあります。

 

・“al toque” = すぐに = “inmediatamente”

・“cojudez” = バカげたこと = “tontería” “ridiculez”  ← 知らんかった

 

こういう地域ごとの多様性は、スペイン語の醍醐味ですね。

もっと知りたい。

 

まとめ

この記事があなたの参考になればうれしいです。

 

もっとスペイン語が上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい。

 

以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。