「最後の一滴を振り絞る」をスペイン語でなんという?
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
あなたのスペイン語に奥行きと幅を与えるメディア、Study Spanish。
今日も旬の話題から、スペイン語の言い回しを紹介します。
今日のネタ
今、旬の話題といえば、ワールドカップで日本が決勝Tに進出した事。
しかも、その進出の仕方(あり様)に注目があつまってます。
ポーランド戦、日本が0-1で負けたことはご存知だと思います。
この試合の残り10分、日本は引き分けを狙わなかった。
そのまま0-1で負けても、イエローカードの差で決勝Tに進めたからです。
(セネガルが同点にしていたら、敗退していましたが。)
最後まで目の前の試合を戦わなかった。
この日本の判断に対して、批判の声があったという話題です。
歴史と記憶に残るのは結果だけ
この件に関しては、日本でも賛否両論ありました。
私の中でも、賛否両論ありました。
勝ち、最低でも引き分けを期待していただけに。
・目の前(ポーランド戦)の結果も欲しい
・でも、決勝Tへの進出も欲しい
両方、欲しかったですね。
仮に、引き分けをめざして2-0で負け、決勝Tに行けてなかったとしたら…
「目の前の試合は捨てても、実を取りに行けよ」と言ってたかもしれないですし。
二つの相反する感情が、自分の中に渦巻いている。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
(1)決勝T進出は嬉しい。でも、負けて進出決定は後味悪い。しかも、同点(この試合の勝負)を捨てた。
(2)結果が全て。悪役になっても、自分たちが本当に望むモノを取りに行った。https://t.co/FbUHzCQijs @YahooNewsTopics
西野監督の頭の中をまとめてくれた記事。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
“日本がポーランド相手に攻めて、1点を取って同点になる確率
日本がポーランド相手に攻めて、逆に点を取られて引き離される確率
セネガルがコロンビア相手に追いつく確率
コロンビアがそのまま逃げ切る確率
それらを10分で判断し...” https://t.co/IOCj6qt0c7
私も後味が悪いと思ってます。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
でも、同点を狙って、2-0で負けていたとしたら…
決勝T進出に徹すればよかったのに、と言ってたかもしれない。
時間が経てばみんな結果しか覚えてないという目で見れば、結果重視でいいという気持ちもあります。
南アの時の戦い方が批判されないのは結果出したからだし。
結局、時間が経てば、みな結果だけしか覚えていない。
今の私は、決勝T進出という結果を素直によろこんでいます。
この西野監督の発言、いいな〜。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
単純な選択なんてないっていう葛藤が伝わってくる。https://t.co/sCmPoiqSvu @YouTubeさんから
先発を6人変えたのもいい判断だったと思います。
決勝Tに備えて、主力を温存できたことは大きかった。
ポーランド戦、先発6人変更。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
自分の中では、この西野監督の決断はすごくよかったと思っている。
結果は出なかったけど。https://t.co/f6aqL9Iqdt @YahooNewsTopics
スタメン6人変更は全く予想できなかったみたいですね。https://t.co/6BGkv51S24 @YouTubeさんから
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
ベルギー戦に勝ってほしい。
今はそれだけです。
今日のスペイン語
今日のスペイン語は「最後の一滴を振り絞る」です。
私が出会った言い回しはこれでした。
「最後の一滴を振り絞る」
ネイティブはこう表現する
今日の例文は、スペインのEl Mundo というメディアから抜き出してきました。
このサイト内でスペインのメディアを取り上げるのはめずらしい。
スペインのスポーツ紙:「日本、サムライの誉なく決勝Tに進出」
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
ベルギーに勇敢に戦って、勝って、結果で批判をひっくり返そう!https://t.co/3vzdVUCItL @elmundoesさんから
(例文)
Polonia ya estaba eliminada, pero se jugaba el orgullo de maquillar su peor papel en la historia de los Mundiales. Con esa última gota de motivación una falta botada a gol de Rafal Kurzawa fue rematada con eficacia, libre de marca, por el central Bednarek en el minuto 60.
Fuente: El Mundo (España), 28 de junio de 2018
(内容)
ポーランドはすでに予選敗退が決まっていたが、ワールドカップ史上最悪のパフォーマンスを取りつくろおうという意地があった。モチベーションの最後の一滴を振り絞って、60分、クルサワのフリーキックを、フリーになっていたベドナレクがしっかり決めた。
出所:2018年6月28日付、El Mundo(スペイン)
「最後の一滴を振り絞る」
この例文では「最後の一滴を振り絞る」= “con esa última gota de motivación” です。
「何の」最後の一滴を振り絞るのかというと「モチベーション」です。
この例文だと「振り絞る」にあたる部分がないです。
これは、日本語にする過程で補足したものだからです。
スペイン語と日本語にはズレがある
スペイン語と日本語を訳す場合、かならずしも、
・動詞が動詞
・形容詞が形容詞
・前置詞が前置詞
というように対応するわけじゃない。
耳障りのいい、自然な日本語にしようとすればするほど、その日本語とスペイン語のズレが出てきます。
“con esa última gota de motivación” だけなのに「振り絞る」を加えているのは、この「ズレ」の一例です。
「意地がかかっていた」
この例文の中にもう一つ、面白いところがあります。
「意地がかかっていた」=“se jugaba el orgullo de maquillar su peor papel en la historia”
・“orgullo”=「意地」
“orgullo”はふつう「プライド」とか「誇り」です。
でも、文脈的には「意地」という日本語にした方がしっくりくる。
・“maquillar”=「とりつくろう」
“maquillar”は「化粧する」がふつうの意味。
そこから派生して、「取り繕う」「粉飾する」とか言う意味でもつかわれます。
・“papel”=「パフォーマンス」
この場合の“papel”は「役割」という訳で、だいたいカバーできます。
でも、ここでは「役回り」→(かなり昇華させて)「パフォーマンス」としました。
・“jugarse”=「~がかかっている」
で、最も困ったのが “se jugaba”です。
「意地がかかっていた」と最終的にはまとめました。
こういう場合、たいてい動詞は文脈次第で変えます。
例文の(内容)で出してるように「意地があった」でも、日本語としてはいいかなと。
こんなキリがない問答を頭のなかでやってます
このように、いろんな例文に触れて、かつ日本語に訳してみる。
すると、その単語に与えられる意味の幅や奥行きが広がっていきます。
かなりマニアックな話です。
まあ、スペイン語が上手になりたいだけです。
おまけ
・日本は1-0でポーランドに負けたが助かった
= Japón se salvó perdiendo 1-0 ante una Polonia
・この試合以前に敗退が決まっていた
= condenada de antemano a irse a casa
・ベドナレクのゴールがポーランドを今大会唯一の勝利にみちびく
= un gol Bednarek dio a los polacos su única victoria
・日本が決勝Tに進出
= la selección japonesa entra en octavos
・フェアプレーのおかげで
= gracias al juego limpio
・厳しい暑さのためチャンスがほぼない試合
= un partido sin casi ocasiones con un intenso calor
・ためらいやミスを招いた
= alimentar dudas y errores
・ベティスの乾までもベンチに置く
= dejar incluso en el banquillo al bético Inui
・日本が機能しなくなって、そこにポーランドはつけ入ることができた
= le costaron importantes averías que los polacos lograron aprovechar
・イエローカードをもらって決勝T進出にできなくなるリスクがあったのでそうした
= lo hizo por el riesgo de que una amarilla los impidiese jugar en la siguiente ronda
・決勝T進出の可能性が潰えた瞬間があった
= hubo un momento en el que el futuro inmediato dejó de existir
・日本にすべての主導権を渡した
= dejar toda la iniciativa a los nipones
・ゴールラインを越えるまえにボールをかきだした
= sacar el balón sin que llegase a entrar por completo
・日本が支配していたようにみえた
= parecía que Japón dominaba
・試合を動かせそうな感じを出していたのはポーランド
= era Polonia la que dejaba la sensación de poder alterar el marcador
・ クルサワやレバンドフスキが連携したプレーをする
= Kurzawa y Lewandowski hilvanasen alguna jugada
・ グループリーグ敗退が見え始めた
= Japón quedó mirando hacia el aeropuerto
・守備が気を抜いたせいで
= por culpa de su despiste defensivo
・ベンチがあわただしくなった
= su banquillo empezó a moverse
・ 西野監督はまず乾を投入した
= Nishino dio entrada primero a Inui
・ポーランドのゴールが重くのしかかった
= el gol polaco pesaba como una piedra
・サムライブルーたちは彼ら自身以外の試合に頼る形となった
= los 'Samuráis azules' estaban presos de lo que sucediese fuera del estadio
・コロンビアがゴールを決めたニュースは日本の不安を小さくした
= la noticia del gol de Colombia rebajó la ansiedad de Japón
・後ろを固めることに決めた
= decidió vigilar la retaguardia
・決勝トーナメント進出を脅かすゴールを決められないために
= para no recibir más tantos que amenazasen la clasificación
・ポーランドはそのお土産だけで満足だった
= Polonia se conformaba con el 'souvenir'
・レヴァンドフスキは一点も決められなかったことに怒っている
= Lewandowski enfadado por no haber marcado un solo tanto
・日本は決勝トーナメントに進出した。恥らいもなく、栄光もなく、サムライの誇りもなく
= Japón logra su pase a octavos sin pena, sin gloria y sin los honores dignos de un samurái
アルゼンチン、フランスに負けちゃった…
ウルグアイとの意地のぶつかり合い見たかったな…
アルゼンチンつながりで、バティストゥータ。
バティストゥータ、ちょいワルオヤジすぎやろ。
— study-spanish (@studyspanishjp) June 29, 2018
めっちゃカッコいい。
やっぱスペイン語ネイティブのバティと比べると、中田のイタリア語は日本人ぽいな。https://t.co/uc8tp6unsi @YouTubeさんから
・ポーランドがゴリゴリ勝ちに来たわけじゃななかった。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年7月1日
・ポーランドの 2 トップ、全然やる気が感じられなかった。
・宇佐美が入るとなんで乾の時みたいにいかないのか?
違う見方やなぜそうなのかを教えてくれる。
サッカーが面白くなる説明だ。https://t.co/qJ9jpEiAZJ @YouTubeさんから
タクミ