「悪癖を繰り返す」「上っ面だけでは不十分、根本から変えなければ」をスペイン語で何という?:メキシコの次の大統領に “アムロ” が選ばれた件から
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
スペイン語が上手になりたい人の味方、Study Spanish。
今日は、メキシコの大統領選挙をネタに、表現力を高める言い回しを紹介します。
今日のスペイン語
この投稿では、「昔からの~を繰り返す」と「上っ面だけでは不十分、根本から変えなければ」をスペイン語で何と言うか紹介します。
今日、私が出会ったのはこんな言い回しでした。
(1)「悪癖を繰り返す」
例文はこうなってます。
= “el PAN ha repetido los mismos vicios de esa vieja política”
(2)「上っ面だけ変えても不十分、根本から変えなければ」
例文はこうなってます。
= “poner una cara joven y nueva frente a un partido no es suficiente si detrás de ésta no existe ningún tipo de ajuste”
この(2)表現は、
・会社など組織の顔となる人だけ変えても不十分
・その組織の中身も変えないと変化はおきない
という意味合いを伝える言い回しです。
ネイティブはこう表現する
今日の例文は、アメリカのCNN がカバーしたメキシコ大統領選に関する記事からの抜粋です。
CNN のイイところは、ラテンアメリカのニュースを俯瞰的に知ることができるところですね。
メキシコの "アムロ" ことロペス・オブラドールが次の大統領に選出。
— study-spanish (@studyspanishjp) July 5, 2018
3度目の立候補で、ついに念願の大統領当選を果たした。https://t.co/5ATlKJJidF @CNNEEさんから
各国のメディアを読むメリットは、その国の事情を深堀りできる点です。
ただ、その国だけで知られているローカルなニュースが中心的にあつかわれます。
読者のターゲットはもちろん、ある程度事情を知っている自国民です。
だから、前提となる経緯の説明とかは、省略してあることがある。
こうなるとその国の事を知らない外様には、理解しづらい内容だったりします。
そこが、各国レベルのニュースのデメリットですね。
その点、CNNとかロイターなどラテンアメリカの外に本部があるメディアは対照的です。
CNNの記事は、「その国の事情をよく知らない人が読み手」という前提で書いてあります。
だから、分かりやすいです。
もちろん細かい話をしている記事もあります。
でも、その細かい記事の中に、全体像の理解に役立つ記事のリンクが貼ってあります。
その記事に飛べば、経緯も理解できる。
つまり、事情を知らない読者にやさしい文章になってます。
そして、最初に言ったように、各国の注目ニュースをつまみ食いさせてくれます。
時間がないビジネスパーソンにとっては、非常にありがたいです。
細かいところまでカバーできないときには、CNNに頼るといいです。
(例文)
Vicente Fox y el PAN lograron el primer cambio significativo en la política del país hace 18 años, pero poco a poco el PAN ha repetido los mismos vicios de esa vieja política. Muchas veces, poner una cara joven y nueva frente a un partido no es suficiente si detrás de ésta no existe ningún tipo de ajuste, y no fue suficiente en esta ocasión ni para el PRI, ni para el PAN.
Fuente: CNN Español, 3 de julio de 2018
(内容)
フォックス元大統領と PAN は、18年前、メキシコの政治にとって初めての大きな変化をもたらした。しかし、少しずつ PAN も昔ながらの政治の悪癖をくり返している。たいていの場合、根本の部分に手を入れなければ、フレッシュなメンツを党の前線に並べても物事は変わらない。今回の選挙での PRI や PAN がそうだった。
出所:2018年7月3日付、CNN Español
背景の説明
・「フォックス元大統領とPANは、18年前、メキシコの政治にとって初めての大きな変化をもたらした。」
→ 2000年、メキシコで初めて、PRI 以外の政党の大統領が生まれました。
その PRI に勝った政党が PAN でした。
その PAN から出た大統領がフォックス元大統領でした。
この PRI 以外の政党から大統領が生まれた事を「大きな変化」と言っています。
・PANも「昔ながらの政治」を繰り返している
→ メキシコの政治のキーワードは「汚職」です。
PAN という新たな政党から大統領が生まれるというのは多くのメキシコ人にとって、「汚職という負の遺産」との別れを期待させるものでした。
その別れ、新しい変化を求めたからこそ、それまでずっと与党だった PRI ではなく、PAN に投票した人が多かったのでしょう。
ただその PAN も「汚職」を過去のものとする事ができなかった。
そういう意味で「昔ながらの政治のくり返し」という表現がされています。
・「根本の部分に手を入れなければ…今回の選挙でのPRIやPANがそうだった。」
→ PRI は2012年に与党に返り咲きます。
ただ、「汚職」とかの悪いイメージは払しょくできませんでした。
それでも、PAN や PRI は、自分の党から大統領を出して、権力と利権を手にしたいのです。
そこで、PRI はミードさん、PAN はアナヤさん、という「フレッシュなメンツ」を大統領候補に立てました。
アナヤ
PAN の大統領候補、アナヤさん。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年7月5日
メキシコの大統領としては、華がない。https://t.co/J18VlNPFzE @YouTubeさんから
ミード
PRI の大統領候補だったミードさん。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年7月5日
勝ったアムロから大きく離されて3位でした。https://t.co/keT7C2n0HC @YouTubeさんから
ただ、「フレッシュなメンツをならべる」=「党の中身が変わる」というわけではありません。
PAN も PRI も今回の選挙では負けました。
変化を期待している人たちには、これらの政党が魅力にかけたのです。
顔ぶれだけフレッシュにしても、党自体は旧いまま。
その党の中身、深いところから変えていかないといけない。
そんな事をこの部分は主張してます。
PAN
・メキシコの政党。アナヤを候補に立てた今回の大統領選では負けた。
・2000~06年のフォックス大統領、2006~12年のカルデロン大統領の政党。
PRI
・メキシコの政党。ミードを候補に立てた今回の大統領選では負けた。
・2012~18年のペニャ・ニエト大統領の政党。
・2000年、PANに負けるまでずっと与党だった。
MORENA
・メキシコの次の大統領に選ばれたロペス・オブラドールの政党。
・2014年、正式に政党として認められました。
(例文には出て来ませんが参考まで)
そういう背景をおさえたうえで、言い回しを見ると理解が進むと思います。
なんでメキシコの大統領選挙が注目されるのか?
多くの日本人は、メキシコと聞いてもあんまりピンと来ないと思います。
「あ~、アメリカの下にある国だっけ?」くらいでしょうか?
実はメキシコ、日本とのビジネスのつながりが強い国です。
今、1100を超える日本の企業がメキシコに進出しています。
特に、日本の自動車メーカーとそのサプライヤーがたくさんメキシコにいます。
メキシコ国内のいろいろなところに進出してますね。
この日本企業の重要な進出先という点が、メキシコの政治に大きな注目があつまる理由のひとつです。
次の大統領になる人の考え方次第で、日本企業がビジネスをしづらくなってしまう心配があるのです。
そこで迎えた7月1日の大統領選挙。
当選したのは、メキシコのアムロこと、ロペス・オブラドールさんでした。
この人が、メキシコの "アムロ" こと、ロペス・オブラドール。
— study-spanish (@studyspanishjp) July 5, 2018
12月1日から6年間、メキシコの大統領になります。https://t.co/vkj95mSRsz @CNNEEさんから
一番ビジネスに影響を出しそうな人が大統領になりました。
彼が大統領として働き始めるのは12月ですが、目が離せないですね。
アムロは「がっかりさせないから!」と約束してます。
アムロの勝利演説。https://t.co/HVYabYdiDl @YouTubeさんから
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年7月5日
まとめ
この記事があなたの参考になればうれしいです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行がしたい。
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。