スペイン語には「言う」を言い換える単語がたくさんある: その4.「言及する」グループの単語
おはようございます!
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
今回の投稿のテーマは、「言う」、です。
「言う」といっても、さまざまな表現の方法があります。
そこで「言う」を言い換えるための単語をまとめて紹介します。
・スペイン語で文章を書いたり、
・フォーマルな場面で話したり
そんな場合に、同じ事を複数の表現をつかって言い換えできると、
「この人は、しっかりとした書き方、話し方ができる(教養がある)人だ」
というポジティブな印象を周囲に与えることができます。
また、スペイン語の能力試験が記述式の場合、高得点(少なくとも好印象)が狙えます。
この記事を読んでほしい人
この記事は、一通りのスペイン語文法と使用頻度が高い基本的な単語を押さえていて、これから表現の幅を広げていこうとしている方を想定して書いています。
「今は、ある事を表現するのに、一つの言い方(単語)しか知らない。」
「でも、複数の言い方をできるようになりたい。」
そういう方に向けたメッセージです。
もちろん、
「この投稿で挙げられている言い換えの単語は全部知っている。 」
「でも、いざ自分が書くとなるとパッとその場で出てこない。」
という方もこの機会に、受動的にわかる単語から、自分が発信する際に能動的に使える単語にしてください。
かくいう私も、まだ成長の途中です
私も、スペイン語をはじめて何年か経って、やっと自分が発信するときに使える単語として定着させることができました。
今でも、しばらく使っていないと「パッ」と出てこないことはあります。
なので、今できないからと言って、落胆することはありません。
あきらめずに、インプットとアウトプットを続けること。
それ以外、非ネイティブがネイティブに近づく道はないです。
"decir" を別の単語で置き換える
「言う」の意味でいちばん頻繁に使われる単語は、“decir”です。
この“decir”を言い換えるための単語をたくさん知っていれば、格調高い文章、洗練された話し方ができるよう人だという印象を与えられます。
それでは、まず、思いつく限りの単語をならべてみたいと思います。
「言う」の意味で使える単語は他にもありますが、今回は「言及する」というニュアンスの単語に限定します。
・mencionar
・referir/referirse a〜
・aludir
特に、最初の2つの単語(”mencionar” と “referir”)は、頻出度が高いので要チェックです!
一方、“aludir” は、他のふたつに比べると使用頻度が少し低い気がします。
ネイティブはこう使っている!:実際の文章
今回も、ネイティブが書いた実際の文章から例を取り上げたいと思います。
まず、"mencionar" から。
(例文)
Frente a la tensión política que se ha generado entre Inglaterra, EE.UU. y Rusia, el presidente mencionó “no nos preocupa los temas políticos, esos deben resolverlos los políticos, a nosotros nos preocupa el fútbol”
Fuente: La República (Colombia), 18 de marzo, 2018
内容としては、こんな事を言っています。
(拙訳)
英米とロシアの政治的緊張の高まりに関して、FIFAのインファンティーノ会長は、「政治問題は我々の関心事ではない。政治の問題は、政治家が解決すべきもの。我々の関心事はサッカーだ。」と述べた。
出所:2018年3月18日付、La República(コロンビア)
背景補足
ここで言う、英米とロシアの緊張の高まりは、イギリスでロシアの元スパイが毒殺未遂に遭った件をめぐる緊張のことです。
次に、"referir/referirse a〜" です。
(例文)
El presidente refirió que el otro huaico que ha afrontado el Perú ha sido la corrupción por el caso Odebrecht.
Fuente: Perú 21 (Perú), 21 de marzo, 2017
内容としては、こんな事を言っています。
(拙訳)
ペルーのクチンスキー大統領は、ペルーが直面してきたもう一つの土砂災害は、ブラジルのオデブレヒト社による汚職であると述べた。
出所:2017年3月21日付、Perú 21(ペルー)
“referirse a〜”の場合
"referirse a〜"という言い方もありますので、その参考例も紹介します。
(例文)
El Presidente de Estados Unidos, Donald Trump, se refirió a El Salvador, Haití y a algunos países africanos como "agujeros de mierda".
Fuente: Emol (Chile), 11 de enero, 2018
内容としては、こんな事を言っています。
(拙訳)
トランプ大統領は、エルサルバドル、ハイチ、複数のアフリカ諸国を「ケツの穴みたいな国」と評した。
出所:2018年1月11日付、Emol(チリ)
余談
この発言、日本ではあまり取り上げられなかったようで、正直、記事を書くまで気づきませんでした。
トランプさんが名指ししたどの国も、政情不安や貧困などで、国外に人が流出している国ですね。
ちなみに、この記事のコメント欄には、
「トランプ大統領をみんな批判するけど、本当はみんなもそう思ってるだろう!」
「チリ人はみんな移民に対して、普段は(トランプと)同じようなことあけっぴろげに言ってるじゃないか!偽善者どもめ!」
というコメントがありました。
それにしても、トランプさんは、わざと人の神経を逆なでするような発言をするんでしょうか?
私は前から気になっています。
最後に、"aludir" です。
(例文)
Luego de un silencio en sus palabras y mirando al cielo, el Presidente aludió que la procesión va internamente, pero que su presencia daba impulso para continuar en el trabajo.
Fuente: Presidencia de la República (Uruguay), 2 de diciembre, 2014
内容としては、こんな事を言っています。
(拙訳)
言葉の端々に間を置き、そして、ときに天を仰ぎながら、ウルグアイのムヒカ大統領は、「大切な仲間を失ったことで、胸の奥に深い悲しみを感じている。しかし、彼の存在が、国の課題に今後も取り組み続けるための力を与えてくれる。」と述べた。
出所:2014年12月2日付、Presidencia de la República(ウルグアイ)
余談
ちなみに、"la procesión va internamente" という表現は初耳でした。
いろいろ、リサーチしたところ、
「難しい状況に晒されているが、その苦しみを感じていないフリをするか、外には見せないようにすること」といったイメージだと思われます。
そして、"la procesión va por dentro" という言い方が一般的なようです。
まあ、"internamente" も "por dentro" も意味は一緒ですので、どちらで言っても通じますが。
この表現を自分で使うことは、一生に一度あるかないかでしょうが、「知らない表現は、調べた上で要不要を判断しないと気が済まない性分」なので、どうかご容赦ください。
注意書き
言い換え可能といっても、いつでも自動的に置き換えられるという訳ではありません。
その単語がチョイスされているのには、意味的な必然性があります。
それぞれの単語がもつ意味に応じて、文脈に応じた最もふさわしい単語をネイティブは自然に選択しています。
あと、書き言葉、フォーマルな場面の話し言葉では言い換えされていますが、日常会話レベルではあまり言い換えはせず、「言う」の代表格である “decir” を繰り返し使うのが普通だというのが私の肌感覚です。
普通の会話でこういう言い換えをすると、
「堅い話し方だな」
「なんか違和感がある単語のチョイスをするな」
「気取りやがって」
という好まざる印象を与えかねないです。
なので、インフォーマルな場面では、リラックスして代表的な "decir" を繰り返してよいと思います。
まとめ
以上、長くなりましたが、「言う」の言換え表現、第4弾でした。
この投稿では、「言及する」グループの「言う」だけを取り上げました。
他にも「言う」の類義語はあるので、次回以降の投稿でも引き続き取り上げます。
すべての単語を出し切ったところで、「言う」の言換え単語リストを作成します。
よく使われる順に並べ替えて、トップ10のリストを作ってみるのもいいかもしれません。
この記事があなたの参考になれば幸いです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
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以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。