“感情をありありと描く” “ヒーローに共感” “あり方” “生身の人間” をスペイン語でなんと言う?
おはようございます。
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
スペイン語が上手になりたい人のサポーター、Study Spanish。
あなたのスペイン語の幅を広げてくれる言葉づかいを紹介します。
今日のスペイン語
今回は下の7つ、役立つ言い回しを紹介します。
スペイン語にしづらい日本語を考える参考になります。
(1)感情をありありと描く
(2)喜怒哀楽をあらわにする
(3)ヒーローに共感する
(4)逆境を乗り越える
(5)~といったあり方を捨てることなく
(6)生身の人間だ
(7)我々でも真似する事ができる生き様を教えてくれる
ネイティブはこう表現する
今日の例文は、12世紀頃に書かれたスペインの古典からの抜粋です。
「わがシッドの歌」というタイトルの作品です。
スペイン語では、
・“Poema de Mío Cid”
・“Cantar de Mío Cid”
のいずれかのタイトルで知られています。
スペイン語の古典、「我がシッドの歌」からスペイン語を紹介。
— study-spanish (@studyspanishjp) 2018年8月28日
(1)感情をありありと描く
(2)喜怒哀楽をあらわにする
(3)ヒーローに共感する
(4)逆境を乗り越える
(5)~といったあり方を捨てることなく
(6)生身の人間だ
(7)我々でも真似する事ができる生き様を教えてくれる pic.twitter.com/3SMuJ6XdQ9
(例文)
El Poema de Mío Cid no sólo refleja la realidad multicultural y política de la España medieval sino describe con realismo las emociones de sus personajes, quienes no dudan de llorar, quejarse, reír y gozar a lo largo de la obra. Eso nos permite identificarnos con el héroe, quien lo es no por vencer a monstruos o brujos, sino por sobreponerse a las adversidades sin negar principios como el valor, la honestidad, la bondad y la justicia. El Cid es un hombre de carne y hueso capaz de darnos un ejemplo nada imposible de seguir.
“Poema de Mío Cid”, pp.13, “Prólogo” por Eliff Lara Astorga, versión: Colección Grandes de la Literatura, Editores Mexicanos Unidos.
(内容)
エル・シッドは、中世スペインの複合文化、政治の現実を映し出すだけでなく、登場人物の感情をありありと描いている。登場人物たちは作品を通じて喜怒哀楽をあらわにする。それがあるから、我々はヒーローに共感を覚える。ヒーローはモンスターや魔術師を倒すからヒーローなのではない。勇気、誠実、善良、正義といったあり方を捨てることなく逆境を乗り越えるからこそヒーローなのだ。シッドは、我々にも真似できる生き様を示してくれる生身の人間だ。
出所:“Poema de Mío Cid”, pp.13, “Prólogo” por Eliff Lara Astorga, versión: Colección Grandes de la Literatura, Editores Mexicanos Unidos.
ココに注目
(1)“con realismo”
「現実に忠実に」とか「現実味をもたせて」とかいう意味。
どちらかというと書き言葉かな。
(2)“llorar, quejarse, reír y gozar”
「喜怒哀楽」としていますが、自然な日本語にしようとした結果こうなりました。
・「喜」 = reír
・「怒」 = quejarse
・「哀」 = llorar
・「楽」 = gozar
「怒」だけがピッタリはまらないけど、「不満」から意味を拡大して「怒」にしました。
決まった言い方はないはずなので、 “quejarse” を “enojarse” と入れ替えたらいいです。
(3)“identificarnos con el héroe”
スペイン語で「共感する」という場合、大概は “identificarse” で表現できます。
「共感する」という話が出てきたら、まずは “identificarse” が使えないか考えてみるとイイです。
(4)“sobreponerse a las adversidades”
スポーツで、「(敵に)打ち勝つ」とか言う場合、 “sobreponerse” をよく使います。
“superar” でもいいですが、その代替オプションとして持っておくと語彙が広がります。
(5)“principios”
この文脈での “principios” は、
・主義主張
・行動原理
・信条
とかいう日本語が訳としてあてがわれてます。
ただ、私は「あり方」、「信念」、「信じていること」という日本語がしっくりきます。
だから、上のなかでは、「信条」になりますかね。
「信念」「信条」って、「私はこうありたい」「こうしたい」っていうのと同義語だと感じます。
そういう意味で、 “principios” =「あり方」という対応を提案しました。
実際に使ってみて、違和感がないかどうかチェックしたいと思います。
地味だけど、今日の7つの中では一番「オッ」と思った言葉づかいです。
(6)“hombre de carne y hueso”
文字通り日本語にするなら、「肉と骨の人間」です。
それが「生身の人間」になります。
(7)“un ejemplo nada imposible de seguir”
「倣うことが全く不可能ではない例」が文字通りの日本語。
スペイン語の構造は無視して、そこから「真似できる」にしました。
「わがシッドの歌」あらすじ
「シッド」おおまかに3部に分かれています。
シッド(ルイ・ディアス)は「シッド」の主人公です。
第1部:謀略により王から島流しにされ、妻娘と引き離される。助ける者は誰もいない。
第2部:イスラム教徒との戦いに赴き勝利することで、王からの信頼を取り戻す。
第3部:シッド不在の間、結婚していたシッドの娘たちは夫から凌辱を受けていた。シッドは娘婿たちへのリベンジを始める。
舞台は中世のスペイン。
北アフリカから侵入していたイスラム教徒がイベリア半島で勢力を伸ばしていました。
そのイスラム教徒から領土を取り戻す戦いが繰り広げられていました。
注:イベリア半島は、今のスペインとポルトガルがあるヨーロッパの半島です。この時代は、レコンキスタという国土回復の運動の時代と認識されています。レコンキスタ(「再征服」の意)は中高の世界史で必ず出てきますね。
まとめ
この記事があなたの参考になればうれしいです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンス修行がしたい。
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。