スペイン語歴2、3か月でも日常会話は可能だ:基本的なスペイン語をならべて意図を伝えよう
おはようございます。
スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。
今日は、私があるできごとを通じて感じたことをそのまま書きたいと思います。
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今朝、出勤したときの話。
タクシーを拾った。
いつもは送ってもらうんだけど、今日はそれができなかった。
プライベートでも神経をすり減らすことがあった。
それでムシャクシャしていた。
気分的に塞ぎ込んでいて、誰とも話したくなかった。
話す事がめんどくさかった。
なぜか拾ったタクシーのおっちゃんがおしゃべりだった。
こういう話たくない気分の日に限って、なぜ? 笑
おっちゃんは、私が乗り込んですぐ、陽気に話しかけてきた。
私は、メキシコに来て2か月のフリをした。
わざと日本人のスペイン語の発音をして。
めんどくさかったから。
あんまりスペイン語ができないと分かれば、それ以上話しかけられないだろうと思ったから。
感じ悪いヤツです。
でも、おっさんは話しかけてきた。
全く気にしなかった。
気づかなかっただけかもしれない。
おっさんはこんな話をしていた。
・彼の22歳の息子が、最近、職場で昇進して、昇給した。
・息子には日本人の上司がいて、その上司の優秀さに息子は感銘を受け、敬意を抱いている。
・おっちゃんは、朝5時から夕方5時まで働いている。私は、何時から何時まで働いているのか。
・「ありがとう」、「おはよう」、「どこに行きますか」、を日本語で何というのか。
私はこう答えた。
オッチャン:彼の22歳の息子が、最近、職場で昇進して、昇給した。
→ 私: Su hijo,… mucho dinero,… feliz.
(気持ちが乗っていたなら、このくらい話を広げてたはずだ。)
“Su hijo ha de estar feliz no tanto por la cuestión económica sino por su logro. Y usted también ha de estar muy orgulloso de él.”
オッチャン:息子には日本人の上司がいて、その上司の優秀さに息子は感銘を受け、敬意を抱いている。
→ 私: Japonés,… trabajar,… mucho.
(気持ちが乗っていたなら、このくらい話を広げてたはずだ。)
“Me da gusto saber que su hijo está contento con un paisano mío. Ojalá él pueda absorber todo lo bueno de su jefe.”
オッチャン:オレは、朝5時から夕方5時まで働いている。
→ 私:Muy cansado.
(気持ちが乗っていたなら、このくらい話を広げてたはずだ。)
“Usted ya dedicó lo suficiente a sus hijos. Ahora les toca a ellos devolverle lo que usted les dio.”
オッチャン:あなたは、何時から何時まで働いている?
→ 私:Ocho…(数えるフリをして) y seis.
オッチャン:ありがとう、おはようございます、どこに行きますか、を日本語で何というのか。
→ 私:“a-ri-ga-to-u”
音節ごとに切ってゆっくり教えてあげた。
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おっちゃんは耳が悪いのか、からっきしダメだった。
でも、おっちゃんは、こんなにふざけた受け答えでも、すごく喜んでくれた。
そして、私が言いたい事は、「完璧」に通じた。
スペイン語歴2、3か月の人が知っていそうな単語を並べただけでも。
最初は、「あ〜、メンドくさ」と思ったけど、オフィスまで歩いている途中で、
おっちゃんとのやり取りは、大事なメッセージを含んでいると感じはじめた。
普段の自分は、
・ネイティブがするような自然な表現をする。
・正確な単語を選択する。
・正確な文法で話す。
・正確な構文に落とし込む。
・話し手が言った単語を一つももらさない。
・単語を全部訳しても、全体での意味が分かりづらくならない。
こんな事を心掛けている。
これがひとつでも欠けると気持ちが悪い。
「自分、ダメだ。プロ失格だ。」と落ち込む。
プロであるが故に完璧を常に目指す。
常に高みを目指す。
それは、当然で悪い事ではないと思う。
でも、完璧を目指すが故に、見落としてしまっていることがあるんじゃないかと感じた。
すべてを正確に訳すことも大事だけど、相手がその言葉を聞いた瞬間に言いたい事が伝わる。
クライアントが相手の意図を理解する鍵となる単語を押さえて、最低限の言葉、最低限の時間で無駄なく訳する。
そんな会話の的を得た、凹凸のついた通訳ができると、
・話が弾むんじゃないか。
・会話にリズムも生まれるんじゃないか。
・クライアントにもっと喜んでもらえるんじゃないか。
・だから、みんなハッピーになるんじゃないか。
そう感じた。
もちろん、練習では常に完璧を再現できるように練習する。
でも、本番では、その会議ややりとりの目的が達成できること、
そして、クライアントが「相手の言う事がよく理解できた」と感じることを最優先にする。
私個人の気持ちよさは、一旦忘れて。
そういう考えでしばらく仕事をしてみようと感じた。
そして、このやり取りを通じて、スペイン語を学び始めたばかりの頃の過去の私自身にこんなメッセージをかけたくなった。
・すべてを正確にしようとすることにこだわらなくていい。
・最初から完璧である必要はない。
・コアとなる単語を覚えて、とりあえず順番にならべて言ってみよう。
・要するに、まず、言いたいことを伝えるという選択をしよう。
・その結果、正しい話し方ができなくてもいい。
・そんな完璧な話し方をしたいという自分向けの欲求は、後で満たそう。
・最初からカッコよくやろうとしなくていい。
・まずは、相手と意思を通わせよう。
・アクセルとブレーキをいっしょに踏まなくていい。
プロの通訳としての私自身にはこんなアドバイスはしない。
でも、スペイン語をはじめたばかりの頃の私には、ぜひ聞かせたいアドバイスだ。
私は、完璧にできないとイライラしてしまうタイプだから、
そんなに気にしなくていい。
肩肘張らなくていい。
そう伝えたい。
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オッチャンは、運賃と引き換えに、彼の名前と携帯番号をメモして私に手渡した。
人相とその振る舞いから、いい人なんだろうと感じた。
でも、外国では、知らない人は、まず疑うのが鉄則。
相手の素性が知れるまでは、絶対に近づかない。
しかも、自分がどこで働いていて、どの国から来たのかがバレている。
だから、連絡先はすぐ捨てた。
(イヤな奴です。)
またこのおっさんにバッタリ会ったら、連絡しなかったことを咎められるかもしれない。
そしたら、こう言い訳しようと思う。
Teléfono, difícil.
電話、難しい。
No veo su cara.
あなたの顔、見えない。
Cara y cara,… fácil.
対面は、簡単。
Veo su cara.
あなたの顔、見える。
Entiendo.
ワカル。
Por eso, no llamar.
だから、電話しない(しなかった)。
おっちゃん、貴重な気づきをありがとう。
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この記事があなたの参考になれば幸いです。
もっとスペイン語が上手になりたい。
キューバに住み込みでダンスを学びたい!
以上、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。