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「できることをやる」「追いつめられた状況で出すべきものを出す」をスペイン語で何と言うか?:バルサの歴史的なチャンピオンズリーグ敗退の余波に便乗する

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 おはようございます!

スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミです。

 

本日は、スペイン語が上手になりたい人のオンラインメディア、Study Spanish にお立ち寄り頂きありがとうございます。

 

誰かに読んでもらえることが励み

インターネットの世界では極めてニッチなスペイン語をテーマにしているメディアです。

そんなマイナーなテーマにもかかわらず、読んで頂けて嬉しいです。

誰かに読んでもらえることは、私にとって大きな励みになります

 

今日のスペイン語表現

今日のスペイン語表現はコチラの2つです。

 

・「できることをやる」

・「追いつめられた場面/後がない状況で出すべきものを出す」

 

この2つの日本語をスペイン語で何と言うかを紹介します。

私が見つけてきたネイティブの表現はコチラです。

 

今日は例文をそのママで紹介します。

 

・“La Roma supo jugar sus cartas”

・“Le puso lo que hay que poner en esta clase de partidos”

 

こんな人に宛てに書きました

何かのチームを統率する立場にあるビジネスパーソンに宛てて書いています。

 

仕事で不利な状況に置かれているけれども、勝利を信じて戦いたい。

そんな場面で、「戦略的に自分たちができることだけやる」という方向性を示すための表現です。

下の妄想ストーリーを眺めてもらって、この表現を使っているあたな自身の姿をありありとイメージしてください。

 

なお、この記事はスペイン語の基礎を一通り勉強し終わった方を想定して書いています。

なので、基本的な文法の説明は省略しています。

もし疑問等ありましたら、コメントを頂ければと思います。

 

こんな場面で使える表現です

太田さん、今あなたは、「M菱ソリューションズ」海外営業部米州第二課に配属されています。

この度、M国にある油田の採掘権を賭けたコンペに地元企業とコンソーシアムを組んで入札しました。

 

しかし、ライバル陣営に比べると、あなたのチームには、石油採掘ビジネスの経験があり、またその分野に突出した能力があるメンバーもいません。

 

今回の案件には、合計8つのコンソーシアムが入札しています。

トーナメントに例えれば、準々決勝です。

 

その8強の中で、あなたのコンソーシアムは最弱と見られています。

あなたも、今回のコンペで勝ち抜く見込みが低いことは分かっています。

 

あなたのチームには、能力も、経験も、時間もありません。

しかし、戦わずして負けを認めることは、あなたのポリシーに反します。

 

今回のコンペは、4ラウンドに分けて行われる方式です。

あなたは、とにかく「目前に迫った1ラウンド目を勝ち抜き、準決勝に進むことに集中する」と決めました。

 

あなたは、そんな決断をコンペ本番まで2週間に迫ったミーティングの場でコンソーシアムのメンバーに伝えました。

(あなた)

みんな、聞いてくれ。

本番まで時間がない。

 

僕の考えを聞いてほしい。

手短に済ませる。

 

僕らのライバルは7コンソーシアムある。

みんなも分かっている通り、僕らの下馬評は最低だ。

そして、ライバルに比べると全ての面で劣るのも事実。

 

だからこそ、第1ラウンドから全てを満遍なくカバーするのは諦めたい。

もちろん最低限の要件はクリアしないといけないが。

 

僕が言いたいのは、「僕らの手持ちの札をしっかり使おう」、「つまり、今の自分たちにできることをやろう」ということなんだ。

 

僕たちは追い詰められている

後がない状況に置かれている

 

こんな追い詰められた、後がない状況にある者が出すべきもの

それは「自分たちができることをしっかりやること」だ。

 

勝つために敢えて、完璧を捨てたい。

「自分たちにできること」に集中したい。

少なくともこの第1ラウンドでは。

 

責任はすべて僕が取る。

だから、ついて来て欲しい。

 

よろしく頼む。

(頭を下げる)

 

(体育会系の後輩、後藤)

みんな、太田さんがここまで言ってるんだ。

みんなの意識を同じ方向に向けて、まず第1ラウンドを突破しよう。

 

(体育会系のみんながこだまする)

ウーッス!!!

 

バルサがまさかの準々決勝敗退:チャンピオンズリーグ

当メディアでは、なるべくその時その時の旬のネタから、今すぐにでも使えるスペイン語の表現をピックアップするよう心がけています。

 

その運営ポリシーに従い、今日の投稿では、バルセロナ(以下、バルサと略)がチャンピオンズリーグの準々決勝でまさかの敗退をこいた件に関する記事から例文を見つけて来ました。

 

 

(バルサファンの皆さん、口が悪くてすみません。私もバルサが勝つと思い込んでいたので、この敗退にはビックリした一人です。)

 

チャンピオンズリーグの決勝リーグは、自分の本拠地と相手の本拠地で合計2試合(ホーム&アウェー方式)した合計点数で勝敗を決めます。

(予選はグループリーグで勝ち点を競い、決勝は一発勝負です。)

 

バルサは、本拠地でのファーストレグ(1試合目)に、4-1で勝利していました。

 

 

メンバーの顔ぶれを見ても、対戦が決まった時点から「明らかにバルサ有利」というのが戦前の見立てでした。

 

ただ、スポーツは何が起こるか分かりませんね・・・

結果は、ローマの歴史的な大逆転でした。

 

 

実用例:ネイティブはこう表現する

それでは、例文を見ていきたいと思います。

今回の例文は、スペインの “Mundo Deportivo” というメディアのコラムから抽出してきました。

 

 

それでは例文を紹介します。

(例文1.)

La Roma no es mejor equipo que el Barça ni por casualidad, pero tuvo fe, supo jugar sus cartas, le puso lo que hay que poner en esta clase de partidos. Su clasificación es merecida.

Fuente: Mundo Deportivo (España), 10 de abril, 2018

  

(内容/拙訳)

ローマがバルサより良いチームであるなんてことはない。しかし、ローマは勝利を信じた。自分たちにできることをやった。こういう試合で出さないといけないものを出したのだ。ローマは準決勝進出にふさわしい。

出所:2018年4月10日付、Mundo Deportivo(スペイン)

 

この例文をこう応用してチームを鼓舞する

コメント1.

冒頭で示した私の妄想覚えてますか?

 万が一、飛ばし読みした場合には、上まで戻って読んでください。

 

この記事の中で最もエネルギーを注いでいる部分です。

大事にしてください。

 

ハンデを承知の上で、チームの今後の戦略を示し、仲間を鼓舞したいと考え、「勝利を信じて、自分たちにできることをやらないといけない」とあなたが伝えたいときには、こう例文を応用しましょう。

 

“Hay que tener fe (en nuestra victoria) y saber jugar nuestras cartas”

 

コメント2.

こう言った後、例文のように間髪入れずに続けましょう。

 

“Hay que ponerle lo que hay que poner en esta clase de competencias difíciles”

 

とりあえず、“competencias” としましたが、コンペを比喩的に試合(“partidos”)と例文と同じにしたままでも大丈夫です。

「チームが追い詰められた状況にある」という文脈をあなたと話し相手が共有していれば、十分伝わります。

 

コメント3.

「できることをやる」「出すべきものを出す」ことができると何が起きるかチームに示す。

つまり、タスクを達成した結果のご褒美が何か明確にできるとより指揮が高まります。

 

太田さんのチームにとってのご褒美は、第2ステージ進出です。

「ここまで言ったことができたら、僕らは第2ステージに進める」と言いたい場合、

 

“Y así, nuestra clasificación será merecida”

 

と表現できます。

 

ちょっと堅い言い方ですが、戦闘の前の演説は堅い表現の方が "エモーショナル" に響きます。

関連記事:"エモい" スペイン語

study-spanish.hatenablog.com

 

今日の表現のおさらい

それでは、今日紹介した表現を下にリストップします。

あなたがチームのメンバーに戦略を示し、鼓舞する姿を想像しながら読んでみて下さい。

(あなた)

“Por favor, todos, préstenme atención.”

「みんな、聞いてくれ」

 

“Tengo algo que me gustaría indicarles para la licitación”

「コンペに向けて指示したいことがある」

 

“Será breve”

「手短に済ませる」

 

“Nosotros no somos mejor equipo que los demás ni por casualidad en esta licitación”

「僕らはこのコンペで最も評価の低い応札者だ」

 

“Pero, hay que tener fe (no hay que perder fe) en nuestra victoria”

「しかし、勝利を信じないといけない」

 

“Para eso, hay que saber jugar nuestras cartas”

「そのためには、自分たちにできることをやる必要がある」

 

“Hay que ponerle lo que hay que poner en esta clase de competencias difíciles”

「今回のように追い詰められた場面では出すべきものを出す必要がある」

 

“Y así, nuestra clasificación será merecida”

「それができれば、僕らは第2ラウンドに進出できるだろう」

 

(メンバー)

ウォー!!! 

 

太田さん、こんな感じでどうですか?

チームのみんなを鼓舞できそうですか?

 

第2ラウンドへの進出、祈ってます!

 

まとめ

この記事があなたの参考になれば嬉しいです。

 

スペイン語がもっと上手になりたい。

 

キューバに住み込みでダンス修行がしたい!

 

以上、バルサ敗退の驚きからまだ覚めきれていない、スペイン語と日本語の現役プロ通訳、タクミでした。

 

エピローグ

この記事の構想段階で候補になっていた例文を紹介します。

 

この例文の応用の仕方は “エロ力” が足りず、どう最初の例文とつなげられるか妄想が至りませんでした。

悔しいですが、寝かせとくのもモッタイナイので、私のメモを紹介します。

(例文)

Quienes menospreciaron a la Roma tras el sorteo de cuartos, tienen tiempo para disculparse. Eran los peores en teoría de los ocho supervivientes, pero al final han sido los grandes triunfadores. Están en semifinales por méritos propios y, sobre todo, por deméritos del Barça.

Fuente: Mundo Deportivo (España), 10 de abril, 2018

 

(内容/拙訳)

準々決勝の抽選でローマを見くびっていた者ども、謝る時間はあるぞ。準々決勝に残ったチームの中で、ローマは最弱との下馬評だった。しかし、結果的には偉大な勝者となった。ローマの準決勝進出は、彼ら自身が優れていたからでもあるが、何よりもバルサの不甲斐なさによるところが大きい。

出所:2018年4月10日付、Mundo Deportivo(スペイン)

 

私の肌感覚:反意語のコントラストが良い

“mérito” と “demérito” という反意語を使った対比ですね。

 

・勝ったローマに “mérito”

・負けたバルサに “demérito”

 

という形で、

 

・勝ち負けのコントラスト

・出来が良い、出来が悪いという意味のコントラスト

 

がセットで使われています。

 

おそらく書き手にはインスピレーション的に「フッ」と頭に浮かんできたコントラストの付け方だと思います。

 

それでいて、文章の構造的に見てもスッキリしていて分かりやすい。

お手本のような意図のある文章の書き方ですね。

 

さすが物書きのプロ、ジャーナリストだけあって参考になります。

読んでいて、「褒める」ー「酷評する」のリズム感もいいです。

 

コレ、完全に私個人の肌感覚の話です。

感じ方は人それぞれです。

 

だから、同じように感じられなくてもまったく大丈夫です。

(その方が正常です、きっと)笑

関連記事:スペイン語の「肌感覚」を鍛える

study-spanish.hatenablog.com

 

おまけ:進出と敗退

あと、〇〇進出、〇〇敗退は、

 

〇〇進出は、“clasificación”

〇〇敗退は、“eliminación”

 

が使われています。

 

どういう単語と組み合わせるのかについては・・・

チャンスがあったときに書きたいと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!